地域イノベーションクラスタープログラム(都市エリア型) 特徴ある糖質の機能を生かした健康バイオ産業の創出

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研究テーマ

テーマ1:希少糖(D-プシコース)の生理機能を有する特定保健用食品の開発

サブテーマ(A)健康機能を高めた希少糖プシコース食品の開発

研究代表者:香川大学農学部 教授 早川 茂
研究機関:香川大学、香川県産業技術センター

1.研究概要

希少糖D-プシコースを食品甘味料や食品素材として用いるために、D-プシコースを含む各種食品を試作し、それらの加工特性(柔軟性、保水性、保形性など)に対する効果を明らかにするとともに、各種試作食品におけるD-プシコースの動態変化を解析し、ヒトの健康を育む機能をもつ安全性、加工性および嗜好性に優れた食品を開発する。

2.これまでの研究成果

食品に添加されている砂糖をD-プシコースに置換して加工した食品(和菓子、ベーカリー食品、水産加工品など)を試作し、D-プシコースが製品に良好な食感、保水性、展延性、ゲル弾力性を与え、抗酸化性が増大させるなど、良い加工特性を与えることが分かった。すなわち、砂糖の1/10程度をプシコースに置き換えたスポンジケーキは柔軟性が増し、抗酸化性が増すことが分かった。また、D-プシコース添加ジャム、メレンゲ、かまぼこにおいて糖の動態変化を調べたところ、中性から弱アルカリ性ではD-プシコースが減少することを確認した。一方、健常者においてD-プシコースとマシュマロなど脂肪の少ない食品を同時に摂取することにより食後血糖値上昇を抑制することを確認した。

砂糖の 5~10%をプシコースに置換したスポンジケーキの弾性率 砂糖の20%をプシコースに置き換えて焼成したケーキの抗酸化性

3.主な論文、学会発表等

何森健, 早川茂, 希少糖の特徴と食品利用の可能性, ジャパンフードサイエンス, 48(8), 22-27 (2009).

Sun, Y. et al., Influence of a rare sugar, D-psicose, on the physicochemical and functional properties of an aerated food system containing egg albumen, J. Agric. Food Chem., 56(12), 4789-4796 (2008).

Puangmanee, S. et al., Application of whey protein isolate glycated with rare sugars to ice cream, Food Sci. Technol. Res., 14(5) 457-455 (2008).

早川茂, 孫媛霞, メイラード反応産物の糖特異性と抗酸化性, 生体の科学, 58(6), 512-517 (2007).

サブテーマ(B)D-プシコースを中心とする希少糖ヘキソースの生理機能(抗糖尿病、抗動脈硬化、抗肥満効果)の解明

研究代表者:香川大学医学部 教授 徳田 雅明
研究機関:香川大学、徳島文理大学、名城大学

1.研究概要

D-プシコースはノンカロリーで甘みも砂糖の6割程度あり、腸管内での糖分解抑制や糖の収抑制等の生理作用を有する。さらに脂質代謝に対しても良い影響を持つと同時に、抗肥満効果を持つので、現代社会にとって理想的な糖質であると言える。このD-プシコースの安全性を確認し、D-プシコースを用いた特定保健用食品を開発する。

2.これまでの研究成果

2型糖尿病モデルOLETFラットにおいて、D-プシコースを含む食餌を摂取している群は、非投与群(対象群)と比べて、食後血糖の上昇が抑制され、それに伴ってインスリン濃度の分泌総量の減少が認められた。これはインスリン抵抗性の改善効果と判断できる(左下図)。
さらに、D-プシコース投与群では著明な腹腔内脂肪量の減少が認められたほか、体重増加も有意に抑制された(右下図)。
ヒトでのD-プシコースの食後血糖値上昇抑制ならびに安全性の確認を済ませ、テーマ1の参画企業が中心になり、「血糖値が気になり始めた方の食品」を効能としたテーブルシュガーの形体の特定保健用食品として、平成22年3月に消費者庁に表示許可申請を行った。

  

3.主な論文、学会発表等

豊田ら, 糖尿病ラットのグルコース負荷試験におけるD-プシコースの血糖低下作用, 薬理と治療, 38(3), 261-269 (2010).

Iida, T. et al., Failure of D-psicose absorbed in the small intestine to metabolize into energy and its low large intestinal fermentability in humans, Metabolism, 59, 206-214 (2010).

Hayashi, N. et al., Study on the postprandial blood glucose suppression effect of D-psicose in borderline diabetes and the safety of long-term ingestion by normal human subjects, Biosci. Biotechnol. Biochem., 74(3), 510-519 (2010).

徳田雅明ら, 希少糖の医薬品への応用可能性, 生物工学, 86(9), 437-439 (2008).

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テーマ2:地域に根付く糖質素材の免疫調節作用を利用した食品等の開発

サブテーマ(A)バイオ技術で生まれた小麦発酵抽出物を活用したヘルスケア製品群の開発

研究代表者:香川大学医学部 客員教授 杣 源一郎
研究機関:香川大学

1.研究概要

1パントエア菌由来糖脂質を有効成分とし、経口・経皮で免疫系を活性化する素材として開発された小麦発酵抽出物について、有効性成分糖脂質の糖鎖構造と生物活性の相関、体内動態について検討を行なう。また、現代病の予防改善をめざし、小麦発酵抽出物を配合した食品、化粧品等を開発し、その効果をヒトで検証する。

2.これまでの研究成果

糖脂質の、糖鎖部分の構造と生物活性の関係性を調べることを目的とし、種類の異なるグラム陰性細菌の90種程度のスクリーニングを行なった。うち、小麦発酵抽出物の有効成分であるパントエア菌由来糖脂質については、本糖脂質の糖鎖部分に特異的に結合するモノクローナル抗体を作用させることにより、生物活性の強さが変化することが明らかとなった。すなわち、糖脂質では、従来知られている脂質部分に加えて、糖鎖構造が情報伝達を修飾することが示された。さらに経口・経皮で投与された糖脂質がどのような体内動態を示すかについて調べることを目的とし、パントエア菌糖脂質を蛍光ラベルすることで、体内動態についての解析も進めている。

これまでの研究成果 これまでの研究成果

3.主な論文、学会発表等

Yoshida, A. et al., Improvement of allergic dermatitis via regulation of the Th1/Th2 immune system balance by macrophages activated with lipopolysaccharide derived from Pantoea agglomerans (IP-PA1), Anticancer Res., 29(11), 4867-4870 (2009).

Kadowaki, T. et al., Comparative immunological analysis of innate immunity activation after oral administration of wheat fermented extract to teleost fish, Anticancer Res., 29(11), 4871-4878 (2009).

Mavichak, R., et al., The effect of liposome-coated recombinant protein VP28 against white spot syndrome virus in kuruma shrimp, Marsupenaeus japonicus, J. Fish Dis., 33(1), 69-74 (2010).

Taniguchi, Y. et al., Availability and safety of LPS-based fermented flour extract as a macrophage activator, Anticancer Res., 29(3), 859-864 (2009).

サブテーマ(B)美白・美肌機能と免疫賦活化作用を有する海洋微生物糖鎖の作用機作と化粧品への展開

研究代表者:香川大学農学部 教授 岡崎 勝一郎
研究機関:香川大学

1.研究概要

メラニン生成抑制作用、保湿作用、免疫賦活化作用などを有する海洋微生物Pseudomonasなどの生産する菌体外多糖ウミノグリカンの機能性を明らかにして、化粧品素材として製品化し、美白・美肌化粧品を製品化して事業化するとともに免疫調節作用を利用した健康食品への展開も目指している。

2.これまでの研究成果

ウミノグリカンは、マウスB-16細胞でメラニン合成経路の初発酵素であるチロシナーゼの発現の阻害することにより、メラニン生成を阻害し細胞を白色化した。また、ウミノグリカン存在下(50μg/ml)で培養したマウスC3H/HeN(リポ多糖LPSに対する応答性が高い)系とC57BL/6JHam(自然に存在する細胞障害性を持つNK細胞は欠損していないが、NK活性が低下している)系脾臓細胞では、インターロイキン(IL)-12とインターフェロン(IFN)-γの産生増強が本糖鎖にリポ多糖LPS(0.1μg/ml) と同様に認められたことから、ウミノグリカンにはマクロファージを介して、加齢に伴って低下する自然免疫と細胞性免疫を増強する機能があると考えられた。

  

3.主な論文、学会発表等

Okazaki, K., Immunopotentiating activity of mucopolysaccharide from marine Pseudomonas sp. WAK-1, 第83回日本細菌学会総会, 横浜 (2010).

Okazaki, K., Okutani, K., et al., Inhibitory effect on melanin formation by marine bacterial glycosaminoglycan, Technical Bulletin of Faculty of Agriculture, Kagawa University, 61, 39-45 (2009).

サブテーマ(C)オリーブ等食品由来の生理活性糖脂質を利用した機能性食品の開発

研究代表者:産業技術総合研究所健康工学研究部門 主任研究員 仲山 賢一
研究機関:産業技術総合研究所、香川県産業技術センター(発酵食品研究所)

1.研究概要

免疫系に対し、様々な影響を与える糖脂質を香川県の特産品であるオリーブなどから抽出し、これを利用した機能性食品等の開発を行うことを目的としている。糖脂質は、人間の免疫系を正常な(健康な)状態に制御することが可能であると考えられるため、有効な製品が開発できると期待される。

2.これまでの研究成果

これまでに香川県の特産品からセラミドを脂質部分に持つ糖脂質を抽出し、マクロファージ様細胞を用いて免疫系に対する効果を有する糖脂質の探索を行ってきた。その結果、炎症反応に対し抑制的に働く糖脂質画分が存在することが確認された。この糖脂質はさらに精製単離され、各種危機分析によりその構造も明らかとなった。さらに、生体内での免疫反応に対する効果を確認するため、精製単離された糖脂質を用いてマウスなど実験動物を用いてその活性を確認したところ、生体内でも炎症抑制作用があることが明らかとなった。これらのことから、この糖脂質は炎症反応により引き起こされる様々な疾病に対して効果が期待される機能性食品などの開発に有効であることが判明した。

糖脂質の構造 炎症性サイトカインに対する抑制作用

サブテーマ(D)褐藻類由来多糖を用いた新規機能性オリゴ糖の生物学的機能とその応用

研究代表者:東洋大学生命科学部 准教授 宮西 伸光
研究機関:香川大学、東洋大学、東京海洋大学、香川県産業技術センター

1.研究概要

本事業では、海藻から可溶性β1,3(6)-グルカンとその限定分解したオリゴ糖を生産するシステムを確立し、それらを利用した新規機能性製品や試薬の開発・商品化、さらには、抗生物質の過剰投与や薬漬けが問題の養殖魚や畜肉に対する新しい飼料成分としての開発を行う。また、グルコオリゴ糖の新規機能性の探索を行うとともに、これらの詳細なメカニズムの解明、さらには、機能性を有するオリゴ糖の新規構造解析技術の確立を目的とする。

2.これまでの研究成果

オリゴ糖作成の原料となるβ-1,3(6)-グルカンを大量に含んでいる海藻として、ある特定の海域に生息する褐藻類が最も適していることが判明したため、本海藻を原材料とした場合のβ-1,3(6)-グルカンの簡易大量抽出条件を検討した。産業化を鑑みた試験として、行程の簡略化・各抽出行程の最適化を試み、最適条件をほぼ決定することができた。また、各製品に最適化されたオリゴ糖調製手法に関する検討も、現在進行中である。β-1,3(6)-グルコオリゴ糖の構造単位の明確化については、β‐1,3結合とβ‐1,6結合の構造差を、分離特性と分解パターンによって区別する事が可能となり、この事から、オリゴ糖の分子内構造をより明確に示す事が可能となった。一方、生理活性作用については、グルコオリゴ糖混合物が免疫賦活効果を示す事が明らかとなった。引き続き、その詳細なメカニズムについて、検討を進めている。

褐藻 b-1,3(6)グルコオリゴ糖群のヒトリンパ球への刺激 TNF-a(腫瘍壊死因子)の発現

3.主な論文、学会発表等

Miyanishi, N. et al., Development of an amperometric analysis sensor chip for specific detection of D-allose, The 5th International Conference on Microtechnologies in Medicine and Biology, Quebec, Canada (2009).

宮西伸光, 糖質とバイオセンシング, 平成21年度日本応用糖質科学会中国・四国支部・近畿支部合同シンポジウム, 岡山 (2009).

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テーマ3:希少糖等を用いた医薬品中間体及び化成品等の原料の開発

研究代表者:九州大学大学院農学研究院 教授 竹川 薫
研究機関:香川大学、大阪大学、岡山大学、九州大学

1.研究概要

本研究では、希少糖に作用する新規グリコシダーゼや希少糖を認識するタンパク質などを検索し、これらの諸性質について解析を行う。さらに、グリコシダーゼの糖転移活性を利用した希少糖含有オリゴ糖や多糖、希少糖含有化合物などを、酵素および化学合成することで新たな希少糖(含有化合物)の生理機能について明らかにすることを目的としている。

2.これまでの研究成果

希少糖に作用するグリコシダーゼを検索するため、さらに希少糖含有化合物を合成するための中間体として、各種パラニトロフェニル(pNP)化希少糖の化学合成を行った。得られたpNP化希少糖を基質として希少糖に作用するグリコシダーゼの検索を行った。その結果、バクテリアやカビ由来のα-L-ラムノシダーゼがα-L-マンノシダーゼ活性を示すことを見いだし、α-L-ラムノシダーゼの新たなアグリコン特異性を明らかにすることができた。
D-アロースやL-ガラクトースなどを結合させてデンドリマー化希少糖を合成した。また疎水性相互作用を利用した希少糖-金ナノ微粒子調製法について検討し、希少糖を用いた場合でも有効であることを見出した。調製した希少糖-金ナノ微粒子は紫外吸収などの機器分析を行うことによって、その構造を確認した。

L-ラムノースとL-マンノースの構造 希少糖含有デンドリマーの模式図

3.主な論文、学会発表等

Hasehira, K. et al., A comprehensive HPLC analytical system for the identification and quantification of hexoses that employs 2-aminobenzamide coupling, J. Biochem., 147(4), 501-509 (2010).

竹川薫, Physiological roles of pyruvylated galactose and galactofuranoside in microbial eukaryotes, 第82回日本生化学会大会, 神戸 (2009).

Nakakita, S. et al., Development of a high-sensitivity chromatographic separation system for pyridylaminated aldopentoses and aldohexoses, J. Chromatography A, 1216, 5112-5115 (2009).

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テーマ4:糖鎖機能を応用した新規腫瘍マーカーの開発

研究代表者:香川大学総合生命科学研究センター 准教授 中北 愼一
研究機関:香川大学

1.研究概要

がん化によって細胞表面の糖鎖は大きく変化することから,がんマーカーとして,糖鎖が注目されている。しかし,糖鎖は種々の問題点から抗体の作製は容易ではなかった。我々は乳がん組織に特異的に発現している糖鎖の検出、構造解析をおこなった。本研究の目的はこの糖鎖を大量調製し、抗体を作製することにある。

2.これまでの研究成果

乳がん患者及び健常者の血清を調製し、乳がん特異的糖鎖の存在の血清中における存在について検討を行ったところ、乳がん患者の血清中にこれらの糖鎖が発現していることが確認された。次にこれらの糖鎖の抗体を作製するため、生体資材からそれぞれの糖鎖を調製し、数十mgの糖鎖を調製することに成功した。こうして得られた糖鎖の還元末端にアミノ基を定量的に変換する方法を確立し、実際にmgオーダーで還元末端にアミノ基が結合した糖鎖誘導体を合成した。このアミノ化誘導体にスペーサーを縮合させ、デンドリマーに導入することができた。最終的にmgオーダーでデンドリマーの合成に成功し、これをつかって抗体の作製を試みている。

乳がん特異糖鎖の検出 我々が選択した糖鎖抗体の作成法

3.主な論文、学会発表等

Sumiyoshi, W. et al., Comprehensive analysis of N-linked oligosaccharides from eggs of the family Phasianidae, Biosci. Biotechnol. Biochem., 74(3), 606-613 (2010).

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