香川県内企業・財団の取組

香川県産ヒノキの魅力を発信したい!間伐材利用の新たなリサイクルを確立(有限会社かがわ木材加工センター)

香川県内の元気な企業を訪問し、その企業が発展してきた過程と躍進を続ける今、そして未来への指針についてお聞きする「かがわ発!元気創出企業」。今回は、高松市にある「有限会社かがわ木材加工センター」を訪ねました。

1955年創業の「赤松製材所」をルーツに、香川県産木材の利用促進に取り組む香川木材加工センター。2024年にはJAS機械等級区分認証工場となり、ここで製材された木は県内各地で使われている。木を育てる山と木を使う消費市場を結びつけ、香川産木材のブランド向上を目指す同社の皆さんに、思いを伺った。

間伐材を商品にして山に還元する試み

 山に植林されたスギやヒノキは、継続的な管理が欠かせない。生育環境を整えるために間引きすることがあり、そこで切られた木は「間伐材」と呼ばれ、十分な成長を待って伐採される「主伐材」より細い、直径20cmほどの小径木が中心。木は原木市場のセリを経て製材所で「材木」になり、工務店や木工所で建物・家具などに加工されるのが一般的な流通の流れだが、小径木はニーズが低く、香川県では間伐材は使い道がないとして長らく山に放棄されていた。
 「でも、香川のヒノキは北向きの山林でゆっくり成長するからか、木目が均一で強度が高い。かがわ産業支援財団のサポートでJAS認証を取得するための試験をしてみたら、やはりバランスのいい良質な木でした。せっかく手入れしていい木に育っているのだから、捨てずに商品として利益を生み山に還元しようと思ったんです」と、赤松利達さん。昭和40~50年代のマツクイムシ被害の跡地に植えられたヒノキが成熟しつつある中で、県産ヒノキの流通を確立したいと考えた。
 その思いは、間伐材利用を推進する国の動きや木の地産地消を目指す県の方針とも合致して、2011年に「かがわ木材加工センター」を設立。赤松さんはもともと山里の太い木を扱う製材所を営んでいたが、センターでは針葉樹の小径木を扱える設備を新たに導入し、香川県産間伐材の利活用を推進する拠点としての稼働が始まった。

県内各地から運ばれてきた材木が積まれたヤード

搬入された木は木くずまで余さず活用

 センターでは、県内6カ所の森林組合から搬入される木材を受け入れる。スギが少ない香川ではほとんどがヒノキで、近年は間伐材だけでなく主伐材も運ばれてくるようになったそう。香川には原木市場がないため、従来の県産材は県外市場を通じて流通していたが、赤松さんはセンターを立ち上げた際に「森林組合が運んでくるすべての木材を引き取る」と約束。さまざまなサイズの木を分別して製材し、建築資材に使えない部分や木くずもパレット、チップ、畜産資材などに余さず活用している。
 建築資材はプレカット工場に6割、工務店に3割程度の割合で、ほとんどが地産地消の県内流通だ。6メートルの長さがあれば構造材に使うことができ、住宅などに使っても安全な強度があることを示すため、財団の支援を受けてJASの認定も取得。「構造材は建物が建ってしまったら見えなくなりますが、見えないところでも安心安全を守りたい」と谷口彰さん。1本の木から節のない材をとるのが難しいという制約はあるものの、フローリング材などに広く使われるほか、集成材の一種「合わせ梁」も自社で開発した。
 センターで製材した材は、一般住宅はもちろん学校・寺社をはじめとする県内のさまざまな施設、あなぶきアリーナ香川や栗林庵といった有名ランドマークにも使われている。

センターの木材が使われたあなぶきアリーナ内施設(提供:香川県)

地産地消のサイクルを守り続けることが大事

 「県産材のブランドを守りたい」という思いから始まったセンター。県内の製材所との連携を深めるための「県産委員会」を定期的に開催しているほか、行政と連携しながら県産材の普及拡大に努め、当初270㎥程度だった出荷量は今や1万5000㎥まで増えた。
 「小径木を扱う製材所は他県でも少なく、また決して材木生産県とはいえない香川で、どんどん規模を拡大していくのは難しいとも思っています」と赤松孝明さん。「大切なのは、地元に根差して、今の流れを存続させること。我々1社では限度があっても、賛同する製材所が増えれば消費者も選択肢が広がるし、業界が活気づくのではないでしょうか」と力を込める。
 20年前は「四国産」とひとくくりにされていた材木は、10年ほど前から「香川産」とうたわれ始めた。孝明さんは「認知が進んでいる手応えはありますし、行政も住宅メーカーも積極的になってきたと思います。針葉樹を扱う製材所として、それ以外の広葉樹を使う木工所などとも連携しつつ、香川県の木に確かなニーズがあることを発信し続けて、香川ならではの『山から消費へのサイクル』を確立したい」と、展望を語った。

環境関連の学習講座や工場見学も積極的に受け入れている
取締役 谷口 彰 氏 代表取締役 赤松 孝明 氏 取締役 赤松 利達 氏

有限会社かがわ木材加工センター

会社概要

所在地 高松市香南町岡16-1
電話 087-813-9001
URL https://r.goope.jp/sr-37-373611s0006/