香川県内企業・財団の取組

世界トップクラスの評価を誇る高性能タンパク質開発の最先端(プロテノバ株式会社)

香川県内の元気な企業を訪問し、その企業が発展してきた過程と躍進を続ける今、そして未来への指針についてお聞きする「かがわ発!元気創出企業」。今回は、東かがわ市にある「プロテノバ株式会社」を訪ねました。

抗体医薬品に不可欠な「抗体結合タンパク質」の開発・製造で世界的に評価の高いプロテノバ。タンパク質の研究者として大手製薬会社で研究開発に携わりながら薬学の博士号を取得し、「面白い研究がしたい」と起業して自ら研究開発の現場を率いる創業者の真島英司さんに、お話を伺った。

世界最高水準のアルカリ耐久性を実現

タンパク質の構造を改変して高い機能性を備えた「抗体結合タンパク質」の自社開発・製造を手掛けるプロテノバ。抗体結合タンパク質は、人体の免疫システムを利用し、リウマチ・がん・アトピー・血友病などの薬物治療において少ない副作用で高い治療効果をもたらす「抗体医薬品」の製造に欠かせない。特に同社の高機能性抗体結合タンパク質は、抗体医薬品の製造効率化や製造・販売コストの低減を実現する画期的な製品として、世界で高く評価されている。
2025年2月、世界最高レベルの機能性を誇る『アルカリ耐久型プロテインL』開発の功績が評価され、2024年度芦原科学賞奨励賞を受賞した。急成長している次世代型抗体医薬(低分子化抗体や二重特異抗体など)の製造は、プロテインLの低分子化抗体に結合できる特性を活用して製造される。開発したプロテインLは、きわめて高いアルカリ耐久性を持つ。2013年に研究を開始し、過去最短の2年で完成に至った。競合他社も新製品の開発を進めていたこと、本格的な製品化を始める前に顧客に評価してもらう期間が必要なことなどから、開発を急ぐ必要があったという。「結果的に競合他社の新製品はアルカリ耐久性を高めるものではなかったため、名実ともに世界初のものづくりになりました」と真島さん。発売から10年を経た今も、世界トップレベルの性能は揺るぎない。

開発した高機能性抗体結合タンパク質
開発した高機能性抗体結合タンパク質

プロテインL

抗体精製に利用されるタンパク質。アルカリ耐久性能が低い。Fabに結合する。
プロテインAでは精製できない低分子抗体の製造に利用される。

低分子抗体

抗体IgGのFc領域を除いたFab及びscFv等の分子量が小さい抗体。
大腸菌での製造コストが削減できること等から、積極的に開発が進められている。

タンパク質の構造改変は研究者たちの「職人技」

高いアルカリ耐久性を持つ抗体結合タンパク質は、国内でも指折りのタンパク質研究者であり、医薬品製造にも詳しい真島さんの知見から生まれた。医薬品の製造には不純物を取り除くためにアルカリで洗う工程があるが、プロテインLはアルカリに弱く、いわゆる「歩留まりが悪い」のが難点だった。
アルカリ耐久性を高めるには、タンパク質の構造をアルカリに強いものに改変する必要がある。タンパク質の構造改変は、70個からなるアミノ酸の配列をアルカリに強い性質を持つものと入れ替えていく作業だ。タンパク質は20種類のアミノ酸が数珠状につながっており、すべての組み合わせを試そうとすると20の70乗という途方もないスケールになってしまうため、相互作用のありそうなところを立体構造で見極めながら絞り込む。
真島さんは「立体構造シミュレーションは非常に難易度が高く、実際の活性がどうなるかは発現させてみないとわからない。AIで効率化が図れなくはないものの、精度はまだまだ人間の方が上です。職人が一つ一つ積み上げていくイメージで、泥臭いけれどいいものができると感じます」と実感する。

IgG抗体の構造
IgG抗体の構造
プロテインL改変体
プロテインL改変体

よりよいものを追求し続けるスペシャリスト集団

2015年に『アルカリ耐久型プロテインL』を発売した時点では、完成までのスピードを優先したため、まだ完成度に物足りなさも感じていたという真島さん。「世界最高峰」の評価に満足することなく、現在も改良を進めるかたわら、開発したプロテインLをベースに「磁石にくっつく」といった新しい機能を加えたものも次々と製品化。医薬品の開発・製造の効率のさらなる向上につながる研究を深めている。
アミノ酸の配列組み換えの検討、発現・精製、試作、評価して結果をフィードバックし、最初に戻って繰り返す─。こうした地道な開発工程の効率化を支えているのは、自社で製造まで手掛ける一貫体制だ。博士号を持つ技術者たちを中心に、社内の各部門を専門化して実践的なスペシャリストを育成しており、一人ひとりのスキルアップが全体のクオリティを底上げしている。
研究者としての「ユーザー」視点も持ち合わせる真島さんの発想力と、メーカーとしての開発・技術力を両輪に、新しいニーズにいちはやく対応するプロテノバ。「マーケットの声を受け取って新しいものづくりにつなげたい」と、意欲的に語っている。

製造の様子
製造の様子
研究開発の様子
研究開発の様子
代表取締役 真島 英司 氏
代表取締役 真島 英司 氏
プロテノバ株式会社の社屋

プロテノバ株式会社

会社概要

所在地 東かがわ市西村1488-1
電話 0879-49-0702
URL https://protenova.com/