香川県内の元気な企業を訪問し、企業を訪問し、その企業が発展してきた過程と躍進を続ける今、そして未来への指針についてお聞きする「かがわ発!元気創出企業」。今回は、観音寺市にある「有限会社藤川果樹園」を訪ねました。
瀬戸内海と讃岐山脈に囲まれた観音寺市大野原町丸井地区で、大自然の恩恵を受けながら柑橘類を栽培している藤川果樹園。おいしいミカンやレモンを作ることにこだわり、独自の栽培方法や販路の開拓に加え、担い手不足を解消するために若手就農者を育成するなど、新たな農園経営に挑戦する代表取締役の藤川寿夫さんに、お話を伺った。


果樹に特化して50年 直接取引で販路を開拓
元々は藤川さんの祖父の代から果樹のほかに野菜や米、養豚、鶏卵などを手掛けていた藤川果樹園。祖父が町議会議員時代に愛媛県や徳島県の農園を視察した際に、「果樹なら収益が見込める」とミカンの栽培に一本化し、1971年に法人化した。ただ、ミカンだけでは時期によって収量や収益にばらつきがでることもあり、しらぬひや甘夏柑、レモンなど約10種類の柑橘を栽培し、一番おいしい時期に産地直送で届けている。農作物の多くはJAなどの出荷団体や卸業者を通して流通している中、藤川果樹園のミカンやレモンは直接市場や顧客と取引する形で販売している。「直接取引は利益を見込めるものの、販路の開拓には苦労した」と藤川さん。東京や大阪の展示会に出店し直接交渉するものの、反応はイマイチ。ミカンの生産地として有名な愛媛や和歌山と比べると、香川県産は知名度が低く、なかなか取り扱ってもらえなかった。
それでも神奈川県のスーパーでは、展示会で知ってもらったことをきっかけに営業担当者が何度も足を運び粘り強く交渉を続けた結果、その品質が認められ、現在も定期的に出荷している。また、神奈川県在住で藤川果樹園のみかんを食べたことがある方が帰省した時に、園内に設置した直売所にわざわざ買いに来られることも。2017年に観音寺市のふるさと納税の返礼品に選ばれたことで、「藤川果樹園」のブランド力は多方面に浸透し、個人や地元の飲食店からの注文も増え、好調な売上につながっている。


手間暇かけたこだわり農法
「皆さんがおいしいと思ってもらえるように、栽培方法にはこだわっている」と藤川さん。肥料と液肥に独自でブレンドした有機肥料や魚肉・海藻エキスを使用することで、果実中のアミノ酸値が一般の栽培方法で作られた柑橘の約1.3倍になり、同園の特徴でもあるうま味と甘さだけではない「コク」のある味わいを引き出している。
また、タイベックと呼ばれる撥水性の高い白い防水シートを地面に張り巡らせる「マルチシート栽培」で雨水をシャットアウトすることで、果実は自ら糖度を上昇させ、色づきが促進。白いシートが太陽光を反射し、果実にまんべんなく太陽の光があたるため、栄養がたっぷり含まれ一回り大きく成長する。こだわり農法で育ったミカンは周囲からも高く評価され、日本野菜ソムリエ協会主催の第1回全国みかん選手権で銅賞を受賞した。
こだわりの詰まったミカンを旬の時期以外でも味わえるように、2020年からオリジナルジュースの販売を開始した。同園のジュースは、一般的な果汁100%ジュースと異なり、無添加で濃縮還元じゃない、絞ったままのジュースだ。ミカンの搾り作業は、厳選した果実の中身だけを搾る「インライン搾汁機」のある愛媛県の会社に依頼。インライン搾汁は、瞬時に果皮と果汁を分離して搾り出す製法で、外皮の油分や苦み、えぐみなど、余分なものが入らないため、柑橘本来の味が楽しめる。ミカンの甘みとうま味が凝縮されたミカンジュースは、直売所やホームページでも購入できる。


果汁100%オリジナルジュース

マルチシート栽培
独自の研修プログラムで若き担い手を育成
日本の農業が抱える深刻な問題が、農業従事者の高齢化と担い手不足。丸井地区もかつては多くのミカン農園があったが、後継者がいないことを理由に農園をあきらめ、放棄地を引き継いでほしいと依頼を受けることも。「このままではミカン農園がなくなってしまう」と危機感を抱いた藤川さんは、2014年からのれん分けの研修プログラム「まるい未完塾」を始動し、ミカン農家として独立を目指す若き担い手を育成している。
研修期間は2年。期間中は社員として雇用し、ミカン栽培の技術やノウハウを取得するまでの全面的なバックアップから、独立をする際の園地の貸し出しなども行っている。また、柑橘は木を植えてから実になるまで3~4年かかるため、独立後もサポート。これまで未完塾から6人の研修生が独立し、そのうちの5人は現在も活躍している。初めて受け入れた研修生は山口県の周防大島に移住し、ミカン農園として収益を上げている。自治体やJAが主体の就農支援が多い中、独自のプログラムで担い手を育成する同園の取り組みは(公財)中央果実協会から表彰され、県外からも視察に訪れている。
同園には現在、正社員とパートを合わせて12人が働いている。今年で古希を迎える藤川さんは、今後の農園のことを考え事業承継を検討中。担い手不足に加え、想像を超える異常気象の影響で果樹栽培は年々難しくなっている中、同園はさらなる飛躍を目指し、観音寺市をミカンの産地として盛り上げていきたいと日々奮闘している。



有限会社藤川果樹園
会社概要
| 所在地 | 観音寺市大野原町丸井1736 |
|---|---|
| 電話 | 0875‐27‐6770 |
| URL | https://fujikawa-mikan.com/ |