香川県内企業・財団の取組

飼料用の水稲を配合した新しい乳牛用飼料の開発で飼料の価格変動のリスク対策と地域貢献を実現(プーキートレーディング株式会社、有限会社ファーム寒川)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

輸入トウモロコシに替えて飼料用米「ホシアオバ」を活用

日本の酪農農家が使用する乳牛用飼料は、牧草を加工した粗飼料とトウモロコシなど穀物を配合した濃厚飼料を組み合わせて給餌している。給餌方法には、粗飼料と濃厚飼料を分けて給餌する分離給餌法のほか、粗飼料と濃厚飼料をブレンドしたTMR飼料と呼ばれる混合飼料として給餌する方法がある。

プーキートレーディング(株)は、混合飼料に濃厚飼料として含まれているトウモロコシに注目し、その重量5%を飼料用米んい置き換えた新しい乳牛用飼料を開発した。飼料用米は、地域の水田農業を支える(有)ファーム寒川が、専用品種「ホシアオバ」を生産して供給した。

開発した飼料は、粗飼料と農工飼料をブレンドした既存の混合飼料と比較して、含まれる栄養価をはじめ、乳牛に与えた際の嗜好性や乳量、乳質などで遜色がないことから、新しい乳牛用飼料として期待されている。

▲飼料用米のモミを取り除き、粉砕加工

輸入飼料原料の高騰とコメの生産量調整への対応

乳牛用飼料の原料の多くは、海外からの輸入に依存している。近年、その価格は高騰、変動幅が大きく、酪農農家の経営を圧迫している。特に燃料用エタノールとして需要が高まったトウモロコシは、投機の対象となり価格は高騰、輸入時の為替変動もあってリスクはますます大きくなった。

一方、コメを生産する農家では、国が進める減反政策として、主食用米の生産調整が行われた。飼料用米が新しく推進されたが、コメの生産現場では、主食用米と飼料用米の区分は厳密に行われる。収穫や調整時のコンタミ(混入)の防止は、飼料用米を本格的に導入するうえで解決すべき課題であった。

これらの課題を克服するため、県畜産課の仲介によって、畜産飼料の製造販売を行うプーキートレーディング(株)と地域で水田農業の中核を担う(有)ファーム寒川が連携し、飼料用米を活用した新しい乳牛用飼料の開発に取り組んだ。

飼料用米の生産、加工技術の確立と乳牛用飼料としてのエビデンスを確保

トウモロコシと異なり硬いモミ殻に守られた飼料用米は、牛に食べさせても消化吸収が悪く、飼料原料として使いにくい現状があった。

そこで、プーキートレーディング(株)は、収穫した飼料用米を乾燥させることなくモミ殻を取り除き、乳酸発酵させる「ソフトグレンサイレージ」という手法を取り入れた。コメに水分を残すことで、消化吸収が高まる。加えて、乳酸発酵させることで雑菌が発生しにくくなり、品質は安定、嗜好性も高まるのが特徴だ。

「酪農農家にお願いして給餌試験を行いました。柔らかなタイプになったことで、心配していた消化吸収に問題はありませんでした。また、飼料には、おからや糖蜜などを加えて栄養バランスを考慮したものに仕上げましたから、従来の混合飼料となんら変わりのない乳量や乳質が得られました」とプーキートレーディング(株)の大山氏。

また、飼料用米は収穫後の乾燥工程を経ずに加工にまわされるため、乾燥作業が省力できる。「乾燥作業が省力化できることは、経営的に大きなメリットです。課題であった主食用米とのコンタミの事故は、乾燥作業で起こりやすいので、そのリスク回避の点でも有効です。」と(有)ファーム寒川の谷本氏。

飼料用米を利用した製品の成分分析も不可欠だ。プーキートレーディング(株)では、アメリカの専門企業に依頼し成分分析を行った。「ある程度の予測をして、独自の配合は行っていたのですが、分析結果は良好で、実証試験の裏付けが取れたことで安心しました。製品の開発やこうした分析に必要な費用は、ファンド事業の助成金が役立ちました」と大山氏。

飼料用米を使った新しい乳牛用飼料が製品化されたことで、香川県で飼料用米を加工し、製品化できる受け皿ができたことになる。今後の水田農業の活性化に貢献ができるはずだ。

「若い世代に農業を継承していくためには、農家経営の安定化が不可欠。飼料用米の需要が増加し価格的に優位性が増せば、栽培面積を増やしていきたい」と谷本氏は期待をしている。

▲「ホシアオバ」の収穫の様子

飼料用米の利用率を高めて循環型農業の構築も!

「現時点ではトウモロコシの替わりに使っている飼料用米は、まだまだ少量ですが、今後、飼料用米を生産する農家が増えれば、代替する割合を高めたいと考えています。また、飼料用米の生産と飼料の製造販売、酪農農家から出る堆肥をうまく循環させるシステムが作れたならば、地域の水田農業や酪農がもっと活性化できるのではないかと考えています」と大山氏の構想も広がる。

飼料用米を利用した新しい乳牛用飼料は、四国を中心に近隣県で販売されているが、需要が増えれば生産を拡大していく。プーキートレーディング(株)では、より高い品質の飼料を供給するため、製造や保管方法の研究改良を継続して行っている。

新商品にかける熱き想い

開発した乳牛用の飼料は、水稲栽培農家、酪農農家、企業が共に力を合わせて作った製品です。この連携事業が成功したことで、地域農業の新しい力になったと感じています。飼料用米を使った新しい乳牛用飼料をできるだけ早く商業ベースにのせてききたいと考えています。

プーキートレーディング株式会社 取締役 大山 正統氏
有限会社ファーム寒川 代表取締役 谷本 晃氏

プーキートレーディング株式会社

会社概要

所在地 木田郡三木町井戸2048-1
電話 087-891-9311
従業員数 28名
資本金 10,000千円
採択年度 平成25年度

有限会社ファーム寒川

会社概要

所在地 さぬき市寒川町神前2856-1
電話 0879-43-1133
従業員数 3名
資本金 550千円
採択年度 平成25年度