香川県内企業・財団の取組

小豆島オリーブ牛の誕生からオール香川の和牛ブランド「オリーブ牛」に成長(東洋オリーブ株式会社、小豆島オリーブ牛研究会)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

採油後の果実を効率的に飼料にしたい

「オリーブ牛」とは、香川の黒毛和牛「讃岐牛」の一定ランク以上のもので、出荷前の2カ月以上の期間、「オリーブ飼料」と呼ばれるオリーブオイル採油後の果実を食べさせたブランド牛。オリーブ牛として公表されたのは平成23年だ。この事業はオリーブ牛誕生の直前に実施された。主な内容は、讃岐牛に給餌するオリーブ飼料の開発と、それを与えた小豆島オリーブ牛の開発だった。

「我々島民は、牛を出荷するにも船を使うので経費がかかる。だからその分、高く売れるブランド牛を作らなくてはと思っていた」と話すのは、小豆島オリーブ牛研究会の肥育農家、石井正樹会長。小豆島といえばオリーブの島。オリーブの実を搾ると、オイルと同時に当時「残渣」と呼ばれていたペースト状の果実部分が残る。「これを牛に食べさせたら小豆島らしい付加価値が付くのではないか?」。何気なく思った石井会長のこの発想が、オリーブ牛の始まりだ。ところがその搾ったオリーブ果実そのままでは、牛は一向に食べようとしなかった。オリーブには特有の渋味があるからだ。

ある時、渋柿を干す光景を見て「これだ!」とひらめいた石井会長。干すことで渋味が抜ける。同じことがオリーブ採油後の果実にもあるのではないかと考えた。そこで、石井会長自ら、むしろやブルーシートに広げて天日干しを試みた。仮説は的中。干すことで渋味が抜けたのだ。「毎日2回、東洋オリーブに採油後の果実をもらいに行って、海岸線で干したり、ビニールハウスの中で干したり。これが実に重労働だったんです」(石井会長)。

一方の東洋オリーブは、当時、採油後の果実は畑に戻していたが、年々オリーブ生産量が増え、それももう限界に達していた。そこで、農商工連携事業で両者の課題解決に取り組んだ。

オリーブ果実を搾りオイルと果肉・種、果汁に分ける

肉のおいしさ=オレイン酸に着目

事業目的は2本柱で設定した。
①オリーブ飼料の開発
②小豆島オリーブ牛の分析
①に関しては、当初、1日2回の手作業で石井会長が悲鳴をあげていた、オリーブ採油後の果実の乾燥作業を、東洋オリーブが乾燥機を導入して行うことになった。乾燥度合いの調整などで、より、牛の嗜好性の高いオリーブ飼料を目指した。東洋オリーブで当時から採油と乾燥を担当する森本覚範課長は「牛に食べさせる様子を石井さんに聞きながら何度も調整しました」と振り返る。当時の試行錯誤をもとに、現在では、オリーブ飼料は一定の水分量で自動的に乾燥が行えるようになり、品質のバラつきはなくなった。②に関しては、オリーブ飼料を食べさせた「小豆島オリーブ牛」3検体を食味分析。給与により、うまみ成分(グルタミン酸・ペプチド総量)の増加、抗酸化成分(カルノシン・アンセリン)が大幅に増加していることが証明された。また、おいしさの指標とされているオレイン酸については、畜産試験場で30点(個体)の分析を実施。オリーブ牛のオレイン酸含有量は55%と、黒毛和種平均よりも16%も高いことがわかった。ちなみにこれは開発初期の数値であり、現在ではさらにオレイン酸含有量は増えている。こうしたバックデータに基づいて「オリーブ牛はうまみが強く、成分的にも優れる牛肉」としてデビューすることができた。

そして最大のポイントは循環型であること。オリーブの栽培・収穫→オリーブオイルと採油後の果実ができる→採油後の果実を乾燥→オリーブ飼料として讃岐牛が食べる→牛糞堆肥ができる→オリーブ畑へ投入する。「何も捨てるところがないんです」と石井会長。

事業でもっとも経費がかかったのは肉質の分析だった
オリーブ飼料

それでも「小豆島オリーブ牛」は健在

平成23年からは、県内全域でオリーブ牛が生産されるようになった。当初「小豆島オリーブ牛」は、小豆島のオリーブ牛事業としてスタートしたが「島ではせいぜい150頭程度しか生産できません。それではブランドにするには程遠い」と、小豆島オリーブ牛研究会は「オリーブ牛」を香川県に託し、大きなブランドに育つことを選択した。

現在、香川県全体で「讃岐牛」の約9割が「オリーブ牛」として出荷され、出荷数は、平成23年に550頭だったのが平成30年には2,335頭と約4倍(表参照)に増加している。平成24年には讃岐牛・オリーブ牛振興会が設立され、小豆島オリーブ牛研究会もその中に入ることとなった。しかし、「我々はオリーブ飼料を規定の2倍与え、『小豆島オリーブ牛』として区別して出荷しています」(石井会長)。

東洋オリーブでは、最初に導入した乾燥機の老朽化に伴い、平成30年に新しい乾燥機を2機導入した。製造能力は2倍になり、オリーブ飼料が安定して作れるようになった。また、オリーブ飼料を作るメーカーは県内4社に拡大した。東洋オリーブの藤塚隆取締役によると「オリーブ採油後の果実だけでなく、弊社農園部ではオリーブの剪定枝を粉砕してチップにし、発酵堆肥にして畑に返すことを始めました。ここ3~4年で社内のあらゆる部署で「循環」意識が高まっています」とのこと。今や欧米へも輸出され始めているオリーブ牛は、県全域でさらに消費拡大を目指している。

新たに導入されたオリーブ飼料用乾燥機

農商工連携事業に取り組んでみて

オリーブ牛は畜産業界だけでなく、香川の観光振興、オリーブ振興にもつながり、環境を考えた循環型農業としても評価されています。
小豆島オリーブ牛研究会 会長 石井 正樹 氏(写真 右)

新たに乾燥機を導入したことによって、さらに安定した品質のオリーブ飼料が届けられるようになりました。
東洋オリーブ 取締役 藤塚 隆 氏(写真 左)
東洋オリーブ 製造部課長 森本 覚範 氏(写真 中央)

東洋オリーブ株式会社

会社概要

所在地 小豆島町池田984-5
電話 0879-75-0270
URL http://www.toyo-olive.com
従業員数 32名
資本金 30,000千円

小豆島オリーブ牛研究会

会社概要

所在地 土庄町滝宮54
電話 0879-75-0270(JA香川県小豆地区営農センター)
URL http://www.olive-wagyu.com
会員数 8名