香川県内企業・財団の取組

善通寺市の特産品ダイシモチの生産拡大と食習慣の提案、加工品で地域に定着を(株式会社まんでがん、農事組合法人アグリくしなし)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

讃岐もち麦ダイシモチで地域に潤いを

「ダイシモチ」とは、平成9年に善通寺市にある国の研究機関で誕生したもち性の裸麦で、一番のウリは“白米の約30倍の食物繊維”だ。生活習慣病予防に効果が期待できるといわれるβグルカンが多く含まれ、見た目はアントシアニンのほんのり紫色をしている。健康効果にも期待がもてるこの麦を発祥の地で地域活性に生かしたいと、平成15年から善通寺市が取り組んできたが、大きな効果なく10年が経っていた。

まんでがんは、平成11年に善通寺市の第3セクターとして、市の活性化を目的に設立された企業だ。市が調整役としてダイシモチの栽培を担う農事組合法人アグリくしなしとまんでがんの連携体をまとめ、連携両者でダイシモチの普及を目指す事業に取り組むことになった。

当時、一般的な裸麦「イチバンボシ」を栽培していたアグリくしなしの細川隆代表理事は「あの頃、新しい麦の可能性にも興味をもち始め、ぜひもち麦ダイシモチを栽培してみたい、と参加しました」と当時を振り返る。

なお、農商工連携事業期間中に、ダイシモチは「讃岐もち麦ダイシモチ」として、イメージキャラクターの「むぎゅ~ちゃん」とともに商標登録されている。

讃岐もち麦ダイシモチ。令和元年には機能性表示食品に認められた

手応えを感じた「健康ブーム」

当時、まんでがんの役員だった今川健二さんの積極的な活躍がなければ、この事業の飛躍的な前進はなかったかもしれない。事業内容のひとつに、当初試験的に栽培していた0.1ヘクタールのダイシモチの栽培面積を事業2年目には30倍の3ヘクタールにする、という数値目標を掲げていた。今川さんは「ただ麦をテスト販売するだけではダメだ」と、いろいろな加工品にダイシモチを使うことでたくさんの人に知ってもらい、食べてもらうきっかけを作った。加工品は、焼酎、甘酒、パン、ピザやケーキなど、善通寺市内の加工業者も参加して、多い時には約30種類もあったという。

事業期間中の約1年間は、毎週のように土・日曜はスーパーなど人が集まるところに出向き、あつあつのダイシモチ麦ごはんが入った炊飯ジャーを持ち込んで、試食会を実施した。“讃岐もち麦ダイシモチ”のポスターやのぼり、そろいの法被やTシャツはもちろん、当時、ゆるキャラブーム真っただ中だったことにもすぐに反応し、イメージキャラクター「むぎゅ~ちゃん」と着ぐるみも作成。徹底的な販促活動の結果、「ダイシモチ」の名前は県内外に広まっていった。「一気に認知度を高めるためには、それなりの戦略が必要。補助金がなかったらこれだけの活動はできなかったでしょう」と、まんでがんの長谷部智伸取締役。

また、この事業を加速させたもうひとつの理由は、消費者の健康志向の高まり、いわゆる「健康ブーム」の初期に重なったことも大きい。雑穀など栄養価に着目した食品が注目を集め、テレビや雑誌、新聞などで「白米よりも麦ごはん、雑穀ごはん」と言われるようになった頃だった。

「あるときテレビ番組で大学の教授が、麦の中でもモチ麦の効果効能を詳しく語ってくれましてね。翌日からものすごい反響でした」(長谷部取締役)。過去から引きずる「麦ごはん」のネガティブなイメージは、健康イメージが定着するにつれて薄れ、ダイシモチもどんどん注目されるようになった。その結果は、グラフの作付面積と収穫量を見れば一目瞭然。平成25年に約15トンだった収穫量は、平成30年には13倍の約200トンになっている。

さまざまな関連商品が生産されている
ゆるキャラ 「むぎゅ~ちゃん®」

生産体制も整え、市をあげた販促活動に

ダイシモチが大きく飛躍し始めたことについて「麦の品種を切り替えて本当に正解だった。作っていておもしろい」と、細川代表理事から笑みがこぼれる。現在では善通寺市農地管理公社のもとで、3法人10個人(いずれも善通寺市)の生産者がダイシモチを栽培。平成27年には生産者部会が設立され、栽培方法の共有や品質の維持・向上に取り組み、種は善通寺市農地管理公社が一元管理している。

また、まんでがんオリジナル商品としても発展し、平成28年に「五岳の誉」というブランドを立ち上げた。善通寺の五岳山のふもとで栽培されたダイシモチの高品質ブランドとして展開していく。その第一弾としてダイシモチを粉末にして練り込んだそうめんを発売した。また、新たな食材として、手軽に使える「茹で麦」を開発。惣菜製造メーカーなど、業務用に広めていく計画が着々と進んでいる。

善通寺市では平成27年に「営業課」が設けられ、今では市も一緒になって販促活動をバックアップしている。「この事業は町おこしの一環。売れればいいというものではなく、地元のみなさんに潤いが循環するようサポートしたい」と市の関係者。まだまだ事業拡大しそうな勢いだ。

ダイシモチの畑は麦が熟れるとほんのりと赤く染まる

農商工連携事業に取り組んでみて

ダイシモチは味がよくて食べやすいことがたくさんの人に伝わり、喜んでいただけたのが、生産者として大きな喜びにつながりました。
アグリくしなし 代表理事 細川 隆 氏 (写真 左から2人目)


農商工連携事業を活用したことが大きく成長する契機になり、平成27年以降は生産量も売上も目覚ましい拡大を続けています。
まんでがん 取締役 長谷部 智伸 氏(写真 右)

株式会社まんでがん

会社概要

所在地 善通寺市上吉田町2-1-9
電話 0877-64-0012
URL http://www.zentsuji-mandegan.jp
従業員数 11名
資本金 10,000千円

農事組合法人アグリくしなし

会社概要

所在地 善通寺市櫛梨町874
電話 0877-63-5455
組合員数 3法人10個人
資本金 5,170千円