香川県内企業・財団の取組

国産針葉樹複合床材で日本の住宅に「和」の新風(東洋テックス株式会社)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

国産材で南洋材に代わる商品を作りたい!

東洋テックス株式会社は、木質フローリングの専業メーカーとして、香川県から日本全国及び海外に製品を販売している。また、木材ならではの機能性と品質、そして美しさにこだわり、顧客満足を得るべく開発に力を注いでいる。

フローリング基材は、反りなどの癖が少なく加工しやすい南洋材合板が主流であったが、熱帯雨林の過剰伐採が続いたため、南洋材合板の供給は減少していた。同社は長年培った木質フローリングのノウハウをベースに、10年ほど前から南洋材に代わるエコで高品質な代用材の模索を続けていた。

そこで注目したのが、国産材だ。戦後に植林された針葉樹がちょうど伐採期を迎えており、有効活用が検討されていた。開発部担当の吉田博一技術顧問は「針葉樹はそのままでは使いづらいため、複合台板としての商品化を目指しました。南洋材に比べると加工の難易度が高く、コストを抑えつつ凹凸や反りをならして、美しい床材に仕上げるにはどのような方法が良いのか、ずいぶん頭を悩ませたものです」と当時を振り返る。

基材の選定を開始し、マツ、スギ、ヒノキの候補の中から適性と芳香性を評価した結果、ヒノキ材を選定した。そして、この合板を基材に特殊化粧シートを貼り合わせて、ローコストながら無垢材のような美しさを表現した床材に仕上げたいと考えた。

そこで、吉田さんたち開発チームは、『表面と裏面が堅く、中心部がやわらかい』という性質を持つHDF(高密度木質繊維板-High Density Fiberboard-)を用いて、やわらかい面を基材と接着する側に使用して、基材の反りや凹凸を受け止める一種のクッション機能を付加した複合床材にしようと考えた。

開発チームの皆さん

和のテイストで既存商品と差別化

当初は外注も考えたが、コストを抑えつつ品質を保つために自社一貫体制で製造することを念頭において開発を進めた。「HDFの中心部のやわらかい面を活かす加工方法には、半割りと研磨がありました。この2種類の方法を試した結果、設備面や品質の安定などから、研磨が最適となりました。国産材の欠点をうまくカバーする当社独自のHDF加工がようやく完成しました」と吉田さんは手応えを感じた。

さらに、せっかく国産ヒノキの香りを活かすなら、やはり見た目も「和」を重視したいと考えた。そこで、化粧シートのデザインには、日本三大美林にも数えられやわらかな色合いが特徴の「尾州檜」、岩手県の県木で優雅な柾目模様の「南部赤松」、荒々しく力強い木目のなかにもあたたかみが感じられる「日光古代杉」の3種を採用した。「お客さまが家づくりで重視するポイントはいくつかありますが、中でもデザインは4割近くの方がこだわる部分です。当社が扱っている従来商品の販売傾向から考えると木目のデザイン性、光沢性はきわめて重要です」と吉田さんは開発商品に対する想いを語ってくれた。

そして、1年余りの年月をかけて、ものづくりの粋を集めた新しい商品がようやく生まれた。同業他社も国産材には注目していたが、業界でも最先端を走る同社の既存技術がスピード感のある開発を後押ししたと言えるだろう。

完成した商品は「大和」シリーズと命名し、平成29年3月から本格的な販売がスタートし、同年5月には国産材マークも取得した。従来のプリントフローリング材は、オークやウォルナット柄など洋風テイストがほとんどだ。しかし、開発した商品は、本格的な「和」の雰囲気を前面に打ち出す国産材のフローリングに新しい風をもたらしており、「今までにない雰囲気」「和のイメージが美しい」「コストメリットがある」とユーザーや工務店にも好評である。落ち着いた和風建築はもちろん、モダンでハイセンスな空間にもすっきりと馴染む高いデザイン性が評価されている。

国産針葉樹の銘木柄をデザインした特殊化粧シートを貼り合わせる

品質安定とさらなる性能強化へ

毎年3月と8月に開催される建材業界最大の展示会「ジャパン建材フェア」(東京ビッグサイト)への出品をはじめ、新商品のPRにはひときわ力を入れている。商品開発部課長の山下耕平さんも「PRの効果は1年くらい経ってようやく目に見え始めるものです。全国各地の営業担当が精力的にPRしていますし、施工実績も少しずつ増えていますから、これからが楽しみです」と期待を込める。

もちろん厳しい性能試験をクリアした商品であるが改良の余地も残している。「最近の住宅は、床暖房が主流ですから、床暖房対応床材としての機能を南洋材と同等以上まで高めていく必要があります」と吉田さんはまだ満足をしていない。今後もライン改造などハード面での見直しも含め、品質の安定やコストダウンなどを追求していく方針だ。

新商品にかける熱き想い!

今回開発した技術は今後の商品展開の核になると確信しています。国産床材のラインナップを増やして、新しい境地を拓きたいです。

開発部担当 技術顧問 吉田 博一 氏

通常なら予算に縛られてなかなか思うように取り組めないことも多いのですが、ファンドの支援のおかげで、自由で高品質なものづくりを追求できました!

商品開発部 課長 山下 耕平 氏

東洋テックス株式会社

会社概要

所在地 高松市勅使町258-1
電話 087-867-7161
URL http://www.toyotex.co.jp
従業員数 250名
資本金 10,000万円
採択年度 平成28年度