香川県内企業・財団の取組

ハイエンドなニット商品で世界に勝負をかける!(株式会社フクシン)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

「モノ」から「コト」へ、変化する流通業界

香川県東かがわ市は約130年の歴史を持つ日本の手袋産業発祥の地。今も高い生産技術が受け継がれ、国内生産の約9割を担う一大産地だ。昭和52年に創業した株式会社フクシンは、全国約500社4,000店の専門店や量販店に向けて手袋を販売する卸売業を営み、設立数年で「のびのび手袋」というヒット商品にめぐりあった。増えるニーズに対応するため、海外生産が主流となる中でも自社ニット工場を備えて一貫生産体制を確立するなど、伝統産業の技術継承に力を入れている。平成27年には手袋の製造技術を活かし、裏起毛タイプの5本指靴下を発売、約4万足を売り上げる人気を呼んだ。

とはいえ、量販店のニーズはクオリティよりも低価格を求める傾向がある。一方、消費市場は成熟が進み、「モノ消費からコト消費へ」、すなわち物語のあるものづくりへの理解とニーズが高まりつつあった。そこで、人口減少などを受けて海外市場も視野に入ってくるようになり、平成27年にニューヨークで開催される北米最大規模の国際ギフトフェア「NY NOW KagawaJapanブース」への出展を決めた。代表取締役社長の福﨑二郎さんは、「いきなりの海外進出に当初は戸惑いましたが、出展してみると裏起毛靴下への反応はそこそこよかったし、何よりデザイナーの梅野聡さんと出会えたことが収穫でした」と振り返る。

高い生産技術とデザイン性で自社製品の新しい付加価値を打ち出そうとしていた同社にとって、この出会いは大きな前進となった。「社内に新しい動きが生まれました。それまで私は公的機関との連携や助成制度などにまったく無関心だったんですが、「NY NOW」をきっかけに人のつながりの大切さを教えられました。ファンドの助成も背中を押してくれた支援の一つです」と福﨑社長。梅野さんとのコラボレーションで、新ブランド立ち上げが動き始めた。

「NY NOW」での好感触が追い風に
高いニット技術が随所に光る
一組一組丁寧に裏起毛を施す
自社ニット工場で一貫生産

欧米でも注目された高いデザイン性と技術

商品ラインナップは手袋、靴下、ニット帽、マフラー。ワンサイズ・ワンカラーに絞ってさまざまな2色を組み合わせたシンプルなデザインは、福﨑社長によれば「梅野さんの好きなように考えてもらいました。アパレルデザインを手掛けるのは初めてだそうですが、敢えて業界を知らない人に頼むのが面白いのではと思って」。技術的に実現しやすい柄・形や売れやすいカラーなどを前提とするデザインが当たり前の手袋業界では異例の潔さだが、それが既成概念を打ち破る力にもなったという。

伸縮する素材だけに、梅野さんがこだわるストライプの幅や円の表現は特に技術力が問われる。細かい指示に可能な限りの技術で応えるだけでなく、無縫製で立体的に編み立てる最新技術を駆使し、仕上げには職人が一組一組丁寧に裏起毛を施した。「何事も『できない』ではなく、何とかしてできる方法を考える努力をしました。一種類ごとの製造プログラムを確立するまで試行錯誤の連続でしたが、デザイン上のディテールへのこだわりは結果的にとても大切な部分だったと思います」と福﨑社長。

デザインの核となる2色の配合(パーセンテージ)にちなんで、ブランドには「%(パーセント)」と命名した。ニットとは思えないほどフィット感が高くシルエットもスマート、モダンなデザイン性と使い心地を兼ね備えたハイエンド商品だ。平成28年6月のInterior LifestyleTOKYOでお披露目、8月には新商品を看板に再び「NY NOW」に出展した。欧米は手袋文化が長く、メイド・イン・ジャパンだけでは実のところあまり競争力にならない。そんな中で、「%(パーセント)」は遊び心のある高品質なニット商品として注目を集めた。「NYの会場では、その場で具体的な商談が始まるんです。すぐに14社との取引が決まり、そのうち7社は追加注文が来ました」。平成29年にかけて国内外のデザインコンクールや展示会に意欲的に出展し、ドイツやロシアにも販路を確保、平成29年度のグッドデザイン賞も受賞するなど、高い関心と評価を獲得している。

製造力が課題、既存商品も含めた販路拡大へ

海外販路はもちろん、「%(パーセント)」をきっかけにこれまでなかった百貨店へのルートも生まれた。反応は上々、しかし課題となったのが他の商品に比べると製造に時間がかかることだ。取引のある4,000店舗分の製造を確保しつつ、海外輸出も含めた「%(パーセント)」のニーズに応えなくてはならない。

「当社のルーツは卸売業で、今もそこが主軸です。販売傾向を細かくデータ管理しているのですが、手間のかかったものがよく売れていて、消費者は鋭いなと思いますね。売れるという手応えはつかみましたから、設備の充実を図るとともに、今後は販路の築き方がポイントだと思っています」と意気込む福﨑社長は、春夏商品や子供向けへの展開を視野に入れつつ、「%(パーセント)」を呼び水として既存商品の販路を拡大するチャンスも見据えている。

新商品にかける熱き想い!

「%(パーセント)」は採算度外視ともいえる挑戦でしたが、チャレンジできたことに感謝したいです。手触り、デザイン、機能で本場にも通用するものづくりができました。苦労しつつも面白く取り組めたからこそ、このステージに立てたのだと思います!

代表取締役 福﨑 二郎 氏

株式会社フクシン

会社概要

所在地 香川県東かがわ市白鳥78-1
電話 0879-25-2285
URL http://www.fukushin.co.jp
従業員数 78名
資本金 1,000万円
採択年度 平成28年度