香川県内企業・財団の取組

体に優しい「発芽玄米」を使った「ベジ玄米餅」と「玄米おはぎ」が誕生(株式会社デュエット)

玄米を忙しい現代人にも!新・玄米の開発に挑戦

高松市内でブティックを営んでいた(株)デュエット2代目の代表者の山川氏は、創業者の母親から経営を引き継いだ。それまで山川氏は、高校卒業後、進学・就職で10数年間、香川県を離れて一人暮らしの生活を送っていた。仕事では、パタンナー(ファッションデザイナーが作成したデザインをもとに型紙におこす専門職)として、日付をまたぐまで働くことがあったほどハードな日々を送っていた。そのため、当時は食事が後回しとなり、簡単で便利なメニューに偏りがちだった。

しかし、結婚・出産を機に「食」への意識が大きく変わり、徐々に40種類以上の有効成分をバランスよく含んだスーパーフードの一つである玄米に注目するようになった。玄米には、体内から不要なものを排除するデトックス効果が高く、免疫力の向上があった。さらに、栄養価も高いため、玄米は健康作りには欠かせない日本の古き良き「食」であることに気づいた。ただし、玄米そのものは、胃や腸に負担がかかり、さらに子供には消化不良となる可能性があったため、玄米よりも体に優しく、栄養価の高い発芽玄米(玄米を2~3日間、水に浸して発芽させたもの)に、特に注目するようになった。

しかし、発芽玄米は炊飯時に手間がかかった。山川氏は、「発芽玄米の栄養価がどんなに高くても、簡単で便利な生活に馴染んだ現代人には拡がらないだろう」と考えて、パンと同様にトースターで焼くだけの発芽玄米100%使用のお餅を開発した。その後、発芽玄米もち米をベースに、古代米(黒米・赤米・緑米)をブレンドした「まるざ古代餅」の販売を平成23年に開始した。前後してブティック事業に加えて健康食レストラン「まるざ発芽玄米研究所」を開業した。

「まるざ古代餅」は、トースターで焼くだけという手軽さはもちろん、プチプチした食感と自然の甘みが増して美味しいとあってリピーターが増加していった。リピーターから好評を得ていくうちに、「味のバリエーションを増やして欲しい」、「健康を気遣う方へのお見舞いや手土産になる商品も作って欲しい」という要望が相次いだ。

そこで、今後の健康志向食品市場の成長性や新規顧客獲得の可能性を期待して、①野菜を粉末化させ発芽玄米餅に混ぜた「ベジ発芽玄米餅」、②低甘味あん「玄米おはぎ」の開発に乗り出した。

粉末化に苦労した「ベジ発芽玄米餅」と健康を考えた「玄米おはぎ」

①「ベジ発芽玄米餅」の開発
開発を進めるにあたり、発芽玄米餅に混ぜる粉末野菜の選定から開始した。そのため、まず、栄養成分が多く含有されている長芋、トマトなど10種類程度の野菜粉末を発芽玄米餅に混ぜて、味覚を検討した。その結果、「大根の葉」の辛味と玄米の甘味の相性が良く、また「よもぎ」も、薬草独特の香りや味があり、比較的相性が良かったことから、この2種類を素材として選定した。

しかし、いざ選定した野菜で粉末化に取り組もうとしたところ、当初は繊維が残ってしまい、粉末化できず、予想以上に作業は難航した。そこで、粉末化に最適な水洗い後の乾燥時間の検討を行い、小型粉砕機にかけたところ、見事に粉末化に成功した。


②低甘味あん「玄米おはぎ」の開発
開発を進めるにあたり、低甘味あんの実現に向けて、砂糖に代わる甘味素材の選定から開始した。そのため、レーズン、ラカンカなどを「玄米おはぎ」に混ぜて検討を行った結果、自然な甘味であった「発芽玄米甘酒」を選定した。品の良い仕上がりが特徴であり、おはぎの大きさも一口サイズにして、健康を意識した女性をターゲットに絞って商品化を進めた。

さらに、贈答用を想定して、ブランドイメージを高めるため、パッケージデザインやロゴマークもあしらったところ、首都圏の大手百貨店を中心に販売の引合いが届いており、今後の市場展開が期待されている。

▲無農薬の大豆を焙煎したきな粉、ゴマ、あんこの3種類で展開する「玄米おはぎ」

玄米や発芽玄米による関連商品の開発に終わりはない

今回の取り組み以降も商品開発を進めており、グルテンフリーで、シチューや唐揚げにも利用可能な「焙煎玄米もち米粉」や「玄米米粉カレーパウダー」などの新商品も相次いで誕生している。また、発芽した玄米で作る「食べる発芽玄米甘酒」の販売も開始しており、古代米や発芽玄米による関連商品の開発に余念がない。

「次の目標は、新工場の建設です。規模は小さくても良いのですが、新たな製造ラインを設けて、もっと喜んでいただける発芽玄米商品を生み出し健康につなげたい」と山川氏。香川県から発芽玄米の良さを発信していきたいという強い気持ちが伝わってきた。

▲「まるざ発芽玄米研究所」はカフェを併設、発芽玄米を使ったさまざまなランチが楽しめる

新商品にかける熱き想い!!

かつて日本人の健康を支えてきた「玄米」は、世界中を健康に、楽しく幸せにできる、そんな力を持っています。まるざの商品が、体を作ってくれる食べものの大切さに気づくきっかけになることを願っています。

代表取締役社長 山川 瑞穂 氏

株式会社デュエット

会社概要

所在地 高松市牟礼町牟礼2310-103
電話 087-845-5200
従業員数 6名
資本金 300万円
採択年度 平成26年度