香川県内企業・財団の取組

地域を挙げて蘇らせた讃岐ブランド「大野豆」が結ぶ縁(有限会社筒井製菓、大野豆プロジェクト)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

大野豆を使った伝統の押し寿司

讃岐の伝統野菜で地域おこしを

高松市香川町大野地区は香東川流域の扇状地にできた平野部に当たり、土壌は水はけがよくミネラル豊富で、古くから豆の産地として知られてきた土地柄だ。中でも讃岐長莢(さや)そら豆は「大野豆」の名で人気の高い香川のブランド野菜で、戦前は稲作の裏作として県内約1800ヘクタールにも及ぶ空豆作付面積の中で、大野地区では人気の高い香川のブランド野菜「大野豆」栽培が主流だったという。「高松市の市場に売りに行けば高く買ってもらえた時代でした」と、大野豆プロジェクト事務局長の生嶋暹さん。

ところが昭和30年代に入ると生活スタイルが一変、兼業農家が増えて農業そのものの担い手が減り始めた。特に豆づくりは機械化しにくく産業栽培が激減、現在では、農地面積もかつての4割ほどまで縮小。宅地化が進み、担い手の高齢化で休耕田や耕作放棄地も増えて、大野地区の田園環境の維持保存は大きな課題となっていた。

そんな中、大野地区のコミュニティ協議会が中心となって、平成25年に地域おこしの一環として大野豆復活プロジェクトがスタートした。「もともとJA女性部が大豆加工品を地域で販売していたベースがあり、大豆以外の豆もやりたい、せっかくなら伝統ある大野豆もやろう、という機運がプロジェクト内で高まったんです」と生嶋さんは振り返る。

現在主流の一寸そら豆に押されてすっかり衰退していた大野豆だったが、地区内に1軒だけ、94歳の生産者が種を守っていた。休耕田を借り受けて作付地も確保し、初年は3アールの畑を仕立てて試行錯誤が始まる。栽培の安定を図るかたわら、収穫した豆の消費方法も確立しなくてはならない。他の豆は加工品として地産地消できるが、大野豆をどうすべきか頭を悩ませていた生嶋さんたちに声を掛けたのが、筒井製菓の代表取締役・筒井朋章さんだった。

「オール国産」が食にこだわる人たちにヒット

筒井さんは豆菓子製造65年の同社3代目。祖父の代から大野豆を使っていたが、菓子原料となる乾燥豆は手間がかかる割に買い手が少なく、次第に廃れていった経緯がある。「祖父が作った製造機械は、一寸そら豆より小ぶりの大野豆に合わせた規格なんです。かつての主流ぶりがうかがえますよね。今は国産そら豆が市場にほとんど出回っていない中、いったん失われて復活した国産ブランド豆、という唯一性と物語に惹かれました」。

3代続いた店の跡継ぎとしてのんびりやってきた、と笑う筒井さんだが、数年前に地域の流通事情が変わって営業活動に力を入れるようになり、キラーコンテンツの必要性を痛感したという。そこに現れた大野豆は、「国産そら豆が原料のブランド豆菓子」の可能性を筒井さんに示した。「生嶋さんに会った瞬間、これは成功すると確信しました。製造ノウハウは既にありますから、製品化できればいける、という手応えもありました。生嶋さんはワールドワイドな製造業界で品質管理や環境管理システムを構築・運用し、業務をなさってきた経験があり、商品クオリティへのこだわりを共有できたことも大きいですね」。

クオリティを守る上で筒井さんと生嶋さんが一番気にしていたのは、原料となる豆の防虫対策だ。大野豆衰退の要因でもあったソラマメゾウムシの害を防ぐため、畑に防虫シートやネットを張ったり、アルミ蒸着シートを敷いたりと栽培時にいろいろ工夫を凝らしているが、100%虫がいないとは言い切れない。数年かけて検証した結果、収穫後いち早く筒井製菓の低温貯蔵庫で保存すれば虫害が出ないことがわかった。栽培管理基準をつくり、トレーサビリティも確立。こうした丁寧な品質管理が、ハイスペックな買い手にヒットする商品づくりを大きく支えた。

加工レシピは塩味のフライビーンズ。シンプルだが豆の旨みが活きた味わいで、すぐに同社の商品ラインナップでも主力となる商品に成長した。大量生産できないからこそ付加価値も高まる。数量限定を謳いプレミア感を打ち出す販売戦略で、地元大手スーパーマーケットを端緒に関西圏、全国へと販路を拡大し、食にこだわる消費者から高い支持を得ている。

豆レシピを競うコンテストも地域で開催

安定した栽培と品質を守り、次世代に継承

3アールから始まった大野豆の栽培は現在約30アールまで拡大し、400~500キロの収穫量を確保している。プロジェクトメンバーも約50人に増えた。豆づくり未経験者も多いが、作業は生嶋さんらが指示を出しながら全員で行う。環境・地域学習の場として周辺の学校にもPRし、生徒たちが作業を手伝うこともある。地域のイベントなどで販売する際には、お年寄りが「大野豆か!」と懐かしむ声も寄せられた。

「一定の手応えを感じていますが、気候変動に伴う生育不順や虫害の増加、畑の個性による成長差など、課題が多いのも実状ですね。4~5年間隔で輪作しなければ連作障害が出ますから、作付地の確保も重要です。大きい1枚畑で栽培できれば理想的なんですが…」と、生嶋さんは栽培の安定・向上に余念がない。筒井さんも「プロジェクトの活動がしっかりしているから、安心して製造できます。人の縁で生まれた商品を、地元にしっかり根付かせていきたい」と、力強く展望を語った。

新商品にかける熱き想い!

財団の仲介があったおかげで円滑に人間関係を深めることができました。私たちが受け継いだ豆の歴史を未来につないでいきたいです!
代表取締役 筒井 朋章 氏 (写真 左)

地域資源を賜物とした大野豆プロジェクト、1軒でも協力農家を増やし、安定して守り伝えていく栽培システムを確立したいです!
事務局長 生嶋 暹 氏(写真 右)

有限会社筒井製菓

会社概要

所在地 高松市多肥上町1706
電話 087-889-0522
URL http://mamegashi.jp
従業員数 6名
資本金 500万円
採択年度 平成27・28年度

大野豆プロジェクト

会社概要

所在地 高松市香川町大野1329-1
電話 087-886-1960
URL https://genki365.net/gnkt05/mypage/index.php?gid=G0000042
会員数 46名
採択年度 平成27・28年度