香川県内企業・財団の取組

国産素材のこだわりと独自縫製技術を駆使した手袋「handson grip」シリーズが誕生(サングローブ株式会社 )

付加価値を高めたブランド確立を目指して

香川県の手袋産業は、120余年にわたって連綿と受け継がれてきた技術が支持され、全国シェア90%以上を誇っている。しかし、デフレ対策として、やがて生産拠点を海外へとシフトを開始し、さらにマーケットの厳しいコスト要求に対応するため、より賃金が安価な国を求めて移転を繰り返してきた。そのため、国内生産の空洞化が発生すると同時に、高い技術を有した技術者の高齢化も進み、手袋産業の維持のため、技術者の育成が課題となっている。

このようななか、各種手袋やスポーツ用アクセサリーの製造を行うサングローブ(株)は、日本人の手による高度な手袋製造技術の継承のため、社内プロジェクトを設け、商品コンセプトの構想を練っていた。しかし、同社代表者の内海氏は、「単なる『メイドインジャパン』ではなく、素材も日本製を用いることで付加価値を高めたブランドにできないだろうか」と考えた。

そこで、国産素材と国内縫製技術を多角的に使用した手袋ブランド「handson grip」*1を確立させたいと考えた。

*1 handson gripは、実際に手で触れるなどの体験学習法。現場で自らが実験・体験することも意味する

▲約60年培った手袋づくりの技が礎

着用感と機能性を大切にした手袋をわかりやすく情報発信

手袋ブランド「handson grip」の確立に向けて、次のような目標を掲げた。

①日本人職人による物への思いがこもった商品の開発・販売を手がけて、社内モチベーションの向上を図る。②地域に根ざしている高度な技術を次世代へ継承していく。③新たな手袋のスタンダードを創造するためのプロジェクトと位置付け、高付加価値・高感度な商品を開発する。

目標達成に向けて、最初に取り組んだことは、素材に一線を画して国産素材にこだわったことだ。経年変化により、使い込むほどに味わいが増す神戸牛キップスキン*2のヌメ革や洗濯を行っても風合い、形状、強度などの物性が変化しないことが特徴のウォッシャブルレザー(神戸牛)を使用して、生地特性を最大限にいかすパターンの検討を行った。次に、自然な履き心地と握り心地を目指して、生地の継ぎ接ぎを少なくして、立体構造形成に仕上げるために、生地の凹凸や糸との接触を削減することに取り組んだ。

このような取り組みの結果、神戸牛キップスキンのヌメ革を植物タンニンで丁寧になめしたエコレザー手袋『Wander ‘Bout Natural』や透湿防水インサートを採用した完全防水で高い保温性を実現した『WT Traverse GV』など7種類の「handson grip」シリーズが誕生した。

商品開発と並行して、出口戦略となる情報発信では、ホームページやFacebookを開設したが、特に注力したのがカタログ製作である。取引先や最終ユーザーに伝わる内容でブランドや商品を説明したいと考え、アラスカで活動を続けるフォトグラファーの松本氏を起用するなどして、掲載写真やブランドイメージの向上を図った。

*2 キップスキンは、生後6ヵ月から2年くらいになる牛の皮で強く厚みがあることが特徴

感性が豊かな若者に興味を持ってもらいたい

今回、誕生した7 種類の「handson grip」シリーズは早速、東京都や大阪府で開催された展示会に出展して、直にバイヤーの生の意見を聞くこともできた。また、今後はさらに販路展開を加速させ、輸入アウトドアの店舗などにも積極的にPRを行っていく予定である。

代表者の内海氏は、「手袋も価格競争に巻き込まれてしまいましたが、革製品は手間をかければ良質な商品に仕上がると思います。また、今回のブランド確立により、感性豊かな若者にも、手袋産業に対して、興味を抱いてもらうきっかけになって欲しいと願っています」と振り返ってくれた。

新商品にかける熱き想い!!

代表取締役 内海 淳二 氏

歴史ある地場産業のメーカーとして国内生産にこだわり、最高に吟味された材料と製法で生まれた自社ブランドです。
従来とは異なるアプローチで独自の道を目指します。共感してくれる人の手にしっかりと手渡していきたいですね。

▲優れた立体感で卓越したグリップを生む

サングローブ株式会社

会社概要

所在地 東かがわ市三本松703-1
電話 0879-25-3221
URL http://handsongrip.net
従業員数 25名
資本金 3,250万円
採択年度 平成27年度