香川県内企業・財団の取組

コンニャクの機能性を追求し世界に挑む付加価値を創造(ハイスキー食品工業株式会社)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

ヘルシー志向のトレンドに合致

大正末期に創業。大衆向け飲料の製造販売を主軸としてきたが、1970年代に入ってからは、冬の閑散期に手掛けていたコンニャク製造販売が次第に存在感を増し、80年代にはスーパーなどでのニーズが爆発。新たな軸となったコンニャク事業の次のステージとして、コンニャクの機能性を生かす新素材を研究するため、96年に開発部門を立ち上げた。

以降、「包装容器内における調味コンニャクの製法」「海藻粉を混和していない黒色系コンニャク」「食品素材用コンニャクの製法および利用食品」「コンニャク麺のレトルトパウチ食品およびその製造方法」などの特許を次々と取得し、2012年には厚生労働省が提供を禁止した牛生レバーにそっくりの見た目と味わいをうたう「マンナンレバー」が全国的なヒット商品となる。現在も「マンナンミール」シリーズを主力商品に、他の追随を許さないコンニャクの機能性研究と開発力で、オリジナリティあふれるコンニャクの可能性を探り続けている。

加工食品がどんどんおいしくなるとともに高カロリー化した時代を経て、現在のトレンドは「おいしくてヘルシー」だ。97%が水分で低カロリー・低糖質のコンニャクは素材として大きなポテンシャルがある。ただ、これまでの同社の主力はウェット系の商品だった。輸送コストや保存性などの点からも、マーケットはドライ系の方が圧倒的に大きい。

「コンニャクが、小麦のように原料として使えたら…」このアイデアが、新たな挑戦の端緒となった。通常の食事と同じおいしさ・量を守りつつ、摂取カロリーが3分の1になれば理想的ではないか。

しかし、ドライ化によってコンニャクの水分が10分の1以下になれば微生物は発生しないが、量も10分の1にまで減ってしまう。これではコストがかかりすぎるため、梅干のようにウェットだが常温でも保存できるよう、「水分活性」の技術を追求することになった。

「安全・おいしい・扱いやすい」を目指して

今回、財団の「競争力強化研究開発支援事業」を活用して、同社が取り組んだのは「食品が持っている水分を、何らかの物質とくっつけて動かなくする」技術の研究だ。普通の水の水分活性値を1とすると、0.9以下で細菌、0.8以下でカビが発生しなくなる。コンニャクに何を加えれば水分活性値を抑えられるかがカギとなる。

そこで、まず水分活性値を計る機器を導入。体に害がなく、しかも低カロリーで、理想の数値に近づける物質を探す研究が始まった。いつ見つかるのかは誰にもわからず、トライアンドエラーの繰り返し。それでも果敢に挑むのは、現在14の特許を持つ同社が「付加価値と知財の追求」を重視しているからでもある。

コンニャクの特徴は、97%もある水を非常に強く抱え込んでいること。そのままでは絞ることもできないが、浸透圧の高い(=水に溶けやすい)物質を加えると脱水が簡単になることがわかった。これを同社では「親和性の高い物質」と呼ぶ。「漬物やジャムなど古来の保存食文化も参考に、さまざまな物質を試行錯誤した。それぞれ一長一短あるので、組み合わせもテーマのひとつですね」と、技術部開発課の北尾良行さん。

もう一つの特徴は、アルカリ領域で安定する食品がコンニャクと中華麺しか存在しないこと。pH11以上のアルカリ領域では微生物の繁殖が遅く安全性が高いが、アルカリゆえにおいしくない、他の食材と併用しづらい、というジレンマがある。同社の大前提は「おいしくなければいけない!」であり、アルカリを中和して味わいをよくする脱アルカリは不可欠な工程だ。

この脱アルカリの過程で、うまみの入ったアルカリ液に親和性の高い調味料を入れ、コンニャクの脱水と同時に調味も行う技術を確立。特許を取得して、2020年6月のマンナンミール袋麺「こばらみちる」シリーズの誕生につながった。

「コンニャクに親和性の高い物質を直接かけると、すごく吸収すると気づいたのです。粉末がコンニャクと相性がいいというのもヒントになりました」と北尾さん。麺に続く新製品誕生を目指して、安全で味わいに作用しない親和性の高い物質をいかに探り出し、水分活性値を下げるかは、依然最大のテーマだ。

開発担当の北尾さん
マンナンミール袋麺 こばらみちるシリーズ

機能性を追求し、海外に発信

ほとんどが水分のコンニャクは、「原料と耕作地が少なくてもたくさん生産できる」というメリットがある。今は日本のマーケットが中心だが、機能性食品としてさまざまな姿に変わることができれば、世界的な健康面などの課題を解決できる食品になれるのではないかと、同社は考えている。

原料となるコンニャクイモは東南アジアでも栽培でき付加価値農業を国策としているベトナムでも試験栽培に取り組んでいる。漁業資源が減少している昨今、魚を模したマンナンミールにも力を入れ、寿司ネタとしてベジタリアンやハラールマーケットも開拓したい構えだ。

菓子業界からはグミ用コンニャクの要望も根強い。「実際の商品がないまま提案しても、『出来たらすぐ紹介してほしい』と好感触でしたね。海外からの問い合わせも増えていて、提案の余地はいろいろありそうです」と、営業部広域営業課長の前川謙二さん。ドライ化の新技術が確立すれば輸送コストも軽減でき、海外に向けた新たな販路開拓が期待できそうだ。

営業担当の前川さん

新商品にかける熱き想い

コンニャクには「安い」「ヘルシー」だけでなく素材、原料として成長できる大きな可能性が秘められています。現在コンニャクの主成分であるグルコマンナンの血糖値抑制や肥満防止効果などの機能性も研究中で、これが証明できれば、さらに発信力につながると思っています。今後も、知財を武器に付加価値を創造し、世界に挑んでいきたいです。

代表取締役 菱谷 龍二氏

ハイスキー食品工業株式会社

会社概要

所在地 木田郡三木町大字氷上219番地
電話 087-898-1125
URL https://www.haisky.co.jp
従業員数 25名
資本金 1,000万円