香川県内企業・財団の取組

安全で時短、再利用可能な画期的な工法(日本ジュウキケンセツ株式会社)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

危険な作業時間をより短く

高速道路や橋梁の建設工事では、機械や資材搬入路を確保するために、本体の橋脚などに添う形で、大規模な仮設桟橋が必要となる。日本ジュウキケンセツ株式会社は、仮設桟橋の建設を中心とした土木・建築工事の請負、建設機械の賃貸など、現場を陰で支えている。代表取締役の松本知巳さんは、「安全で、効率的な工法を探求し続けてきた」と言うように、さまざまな工法を生み出してきた。自ら考案した「スパイダー工法」や「パラミックス工法」は、すでに特許を取得している。

高さ数十メートルにも及ぶ仮設桟橋は、危険を伴うため、多額の工事費と高い施工技術が求められる。パラミックス工法とは、仮設桟橋構築に必要な支持杭を地表付近で打ち止め、上部杭と桁材を地組パネル化したものを取りつける工法である。支柱杭を直接地面に打ち込む従来の工法とは異なり、基礎杭と支柱杭とに分離し、基礎梁の上にパネル状の支柱杭を設置するため、標準的な部材として継手やプレートをあらかじめ製造できる。建設期間が短縮され、作業員の転落事故のリスクも減り、安全性の向上につながってきた。

パラミックス工法により、仮設桟橋の建設に要する時間は短縮されたが、「危険が伴う高所での作業時間をもっと減らしたい」と考えていた松本さん。次に注目したのが鋼管の「継手」である。継手は「危険な作業で効率も悪い」と感じていた。また、一度溶接した鋼管は、次の現場で再利用することができない。現場での作業時間を短縮し、資材を有効利用できる方法がないかと考え、建て売り住宅の建設方法をヒントに、「ボルトジョイント型」の開発を始めた。

ボルトジョイント型パラミックス工法を採用した現場

継手を「溶接」から「ボルト」へ

ボルトジョイント型は、上下鋼管の継手の内部に固定具をセットし、すでに鋼管に溶接しているリブと連結プレートをボルトで締める方法である。一番の問題は、溶接以上の強度を保つことができるかであった。継手部分の強度が弱いと大事故につながるため、仮設設計の専門家を招いて検証した。試行錯誤の繰り返しであったが、松本さんは「やると決めたからには最後までやり通す」の信念の下、何回も固定具の試作を作り、約1年かけて検証した結果、溶接した鋼管と変わらない強度にまでもっていくことに成功した。

従来のパラミックス工法では、支柱杭の継手を現場でガス溶接していたため、作業中に出る火の粉が原因で山火事の危険もあったが、ボルトジョイント型にすることで、その心配がなくなった。また、溶接工の高齢化により人材が減っている中、手配の負担が減り、溶接にかかる時間がなくなったことで、建設期間をさらに短縮できた。

さらに、ガス溶接した鋼管は、建設工事が終了するとガスで切断しているため強度が下がり、再利用できず全て廃材になっていたが、ボルトジョイント型に改良したことで鋼管の再利用が可能となり、経済面と環境面の両方に貢献することができた。

「建設現場は常に危険と隣り合わせ。現場作業員のリスクを極力減らしたい」という松本さんの思いから、パラミックス工法はさらなる進化を遂げた。

協力会社を増やし全国展開へ

従来のパラミックス工法は、2015年3月に特許を取得し、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録している。奈良県の豪雨災害で初めて採用され、高評価を得た。その後、和歌山県雄ノ山高架橋や香川県椛川ダムの建設工事など、実績を積み上げている。

改良型のボルトジョイント型は、「溶接しない」という今までの常識を覆す工法のため、当初はなかなか受注につながらなかったが、地道な営業活動を続け、2020年に関西の現場で初めて採用された。現在作業中であるが、仮設桟橋工事のスピードの速さと安全性を見た隣の工区の業者が興味を持ち、問い合わせも徐々に増えている。「四国の小さな会社が全国で勝負していくには、私一人の力では難しい。協力してくれる会社を増やしていきたい」と松本さん。今後はパンフレットの作成や専門誌に掲載してPRしていくほか、大手商社などとタッグを組んで全国展開も視野に入れている。

現在の従業員は22人。建設業界で働く若い人材が不足している中、今年初めてミャンマー人を採用した。事業を拡大していくためには、優秀な人材確保も重要な課題だ。

作業員が安全で、安心して仕事ができる建設現場を目指し、松本さんの挑戦はこれからも続いていく。

新商品にかける熱き想い

高速道路や橋梁の工事は山間部が多く、厳しい環境条件で作業しています。ボルトジョイント型パラミックス工法は、安全かつ効率的で、工期の短
縮につながるだけでなく、資材の再利用もできる画期的な工法です。作業員の安全を確保することは、私の使命だと考えています。

代表取締役 松本 知巳氏

日本ジュウキケンセツ株式会社

会社概要

所在地 高松市国分寺町新名1764-1
電話 087-874-5128
URL https://www.nihonjuuki.com/
従業員数 22名
資本金 1,500万円