香川県内企業・財団の取組

誰でも簡単に入力できる介護記録システム「CareWorkers(ケアワーカーズ)」(日本メディカル株式会社)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

高齢化・国際化する介護スタッフの負担軽減へ

医療機器の販売からスタートした日本メディカル株式会社は、医師の人材紹介やシステム開発のほか、診療所や調剤薬局の運営など多岐にわたる事業を行っている。お客さまに寄り添い、製品の選定からコンサルティング、アフターサービスまでワンストップで提供し、医療に求められる環境を作るコンシェルジュとして、病院や介護施設などの地域医療を支えている。

高齢社会が進み、介護ニーズは増加の一途であるが、介護施設は職員の不足と高齢化が深刻な問題となっている。厚生労働省の資料によると、2025年に約55万人の介護人材が不足すると見込まれており、人材の量と質の確保は喫緊の課題である。国の施策により、外国人の介護人材を受け入れる施設も徐々に増えているが、今後の介護サービスを低下させないために、事務作業の効率化・省力化、情報共有など現場作業の見直しが求められている。

そのような中 、経営企画室マネージャーの倉本幹也さんは、丸亀市の社会福祉法人厚仁会から「介護記録をデジタル化できないか」と相談を受けていた。他社の介護記録システムを検討してみたが、操作が難しく、結局現場では使えないという。「介護の現場ではケアプランや請求システムなどのデジタル化は進んでいますが、介護記録はほとんどが手書きです。介護記録は病院のカルテのようなものですが、記述が苦手なスタッフには時間と労力がかかってしまい、結果的に現場責任者など特定の人に作業が集中します」と、一部の人にかなりの負担がかかっていた。また介護者と記録者が違うことで、伝達ミスや記載ミスが起こりやすいという問題もあった。

今後ますます増加が見込まれる外国人の介護スタッフもすぐに記録できるようユニバーサルデザインの視点で、「誰でも簡単に使えるシステムは作れないだろうか」と考えた倉本さんは、厚仁会とさぬき福祉専門学校の協力の下、外国人を含む全ての介護スタッフが活用できる、操作性を重視した介護記録システムの開発に乗り出した。

利用者の情報をタブレットで随時入力

「ワンタッチ入力」で多言語にも対応

2017年にプロジェクトを立ち上げ、1年半かけて介護施設などで情報収集を行った。食事、入浴、排せつ、バイタル、薬などシステム化する介護サービスの記録項目を抽出し、スタッフの意見を聞きながら入力方法をできる限り簡単にした。

試行錯誤を重ね、2019年3月に完成し4月から販売している「CareWorkers(ケアワーカーズ)」は、タブレットやパソコンで使えるシステムで、クラウドサービスを利用するため、新たなソフトを入れる必要はなく、操作もいたって簡単。食事や入浴、排せつなどの基本的なサービス項目は、全てアイコンを選ぶだけ。体温は小数点以上と以下に分け、小数点以上はワンタッチで、以下はテンキーで入力できるようにした。記述欄も「いつ」「何をした」という質問部分をタッチすると、あらかじめ登録しているテンプレートが表示され、その中から選んでいくと文章が完成する。「記録する時のスタッフの負担を限りなく少なくするために、無駄な操作は徹底的に排除しました」と開発担当であるテクニカルチーフの淀里織さん。音声入力もできるので、長い文章を書くのが苦手な人も安心して使える。

介護の現場で働く外国人が増えていくことを想定し、入力言語は英語、ベトナム語、インドネシア語、フィリピン語に対応。言語を選ぶと、日本語と併記で表示されるので、「外国人材の育成にも役立ててほしい」と倉本さん。現在は、中国語、スペイン語、ポルトガル語、ミャンマー語、ラオス語が加わり、10カ国語に対応している。

入力データは時系列で記録され、1日の流れや体温の変化などがひと目で確認できる。「介護はチーム仕事です。介護した人が随時入力することで、リアルタイムに情報共有ができ、介護サービスの質の向上、効率化につながります」と淀さん。管理者、入力者の設定や施設利用者のグループ管理など、施設の運営に合わせたカスタマイズも自由にできる。

開発担当の淀さん
バイタル情報入力画面
時系列で表示可能

「介護のカルテ」として医療と連携

介護の現場では「とても使いやすい」と好評で、「良いシステムを作ったという自信があります」と倉本さん。しかし全国に向けて販路を広げていこうとした矢先、新型コロナウイルス感染症の影響で県外への移動が自粛となり、営業活動も思うに任せない状況に。それでも、県外の施設からも問い合わせがあり、現在はオンラインを中心に営業活動をしている。

介護保険施設やグループホームなどは全国で約3万施設。ケアワーカーズは、入所型介護施設向けのシステムだが、現在はデイサービスへの対応も準備中。淀さんは「介護の現場が便利になり、介護サービスの向上につながるとうれしいですね。今後も現場の声を聞き、ニーズを的確に捉え、人に優しいシステムにしていきたい」とさらにグレードアップしていく予定で、将来的には「介護のカルテ」として、医療との連携や、さらには地域包括ケアシステムを構成するツールを目指している。

誰でも簡単に使える介護記録システムには、介護スタッフの負担を少しでも軽減し、介護サービスの充実に貢献したいという熱い思いが込められている。

新商品にかける熱き想い

他社のシステムと比較しても、「使いやすさ」では絶対に負けません。全国に販路を広げ、多くの介護施設で採用してもらいたいと思います。これからのテーマは「連携」。医療や地域、家庭と連携し、統合データベースとしての役割を担っていけるように、技術的な準備も進めていきたいです。

経営企画室 マネージャー 倉本 幹也氏

日本メディカル株式会社

会社概要

所在地 高松市東ハゼ町8-8
電話 087-865-4111(代)
URL https://www.japan-md.co.jp/
従業員数 18名
資本金 1,000万円