香川県内企業・財団の取組

黄金に輝くはだか麦「イチバンボシ」は、香川県の希望の星(株式会社高畑精麦、香川県農業協同組合)

黄金色の麦畑を次世代に残したい!

明治時代より善通寺市で大麦などの精麦業を営む(株)高畑精麦は、平成26年、はだか麦を主役に据えたブランド「讃岐はだか麦本舗」を立ち上げた。

「讃岐はだか麦本舗」店主の高畑氏にとって原風景は、初夏の夕刻、学校帰りに見た黄金色に輝く一面の麦畑であった。しかし、進学に伴い香川県を離れ、十数年ぶりに帰郷すると、幼いころから慣れ親しんだ風景は大きく変わっていた。

後にその風景は、はだか麦の畑であったことを知る。温暖で雨の少ない香川県では、古くから麦作が盛んに行われてきた。なかでも、はだか麦は、全国第2位の生産量を誇っている。しかし、焼酎や味噌の原材料として使われるため、身近な作物としての認知度は非常に低い。また、作付面積は、ピーク時だった昭和30年頃の25,000haから、近年は900ha程度まで激減している。生産者は高齢化し、担い手・後継者も不足しているという現状に衝撃を受けた。

「次世代に美しい麦畑を残したい」そんな強い思いから、(株)高畑精麦と香川県農協は連携し、香川県産はだか麦をブランド化し、生産の維持拡大と全国に発信する取り組みを始めた。

生産者との絆を結ぶ「讃岐はだか麦本舗」と自慢の商品たち

食物繊維が豊富な健康食材としてだけではなく、はだか麦が持つ素朴な魅力とはだか麦を育む風土をもっと伝えたい。そこで、ブランディングの専門家として著名な吉田透氏をお招きし、商品開発、デザイン、広報、マーケティング等に取り組むチームを結成した。全員が集合したのは平成26年9月、そこから事業終了予定まで1年半の目標を定めた。「社内で品質管理を担当していた私にとって、営業・販売の経験がなかったので全く初めての仕事でした。また、創業129年を迎える㈱高畑精麦にとっても、設立以来初の試みでした」と高畑氏は当時を語る。プロの力を借りながら、まさに手探りからの出発だった。ゆえに「ここまで形にすることができたのは“奇跡”です」とも高畑氏は語ってくれた。

最初に取り組んだのは、そのまま「食べる」商品。甘みと香ばしさ、食感が際立つ、「おし、まる、げん」と呼ぶ“裸押麦”“裸丸麦”“裸玄麦”のシリーズである。白米と一緒に炊くだけでなく、スープや炒飯など様々な料理に応用しやすく、手軽に健康メニューのバリエーションを広げることができる。このシリーズは、国産農産物の消費拡大事業者を表彰する「フードアクション・ニッポンアワード2015」の商品部門で優秀賞を受賞した。

続いて、グラノーラシリーズ「NUDE GRANOLA(ヌードグラノーラ)」を開発。現在「PLAIN(プレーン)」と「FRUITS(フルーツ)」の2種類で展開している。玄麦(全く精麦していない裸麦)をポン菓子のように膨らませ、厳選したパンプキンシードやドライフルーツをミックスしたタイプだ。全体の約70%がはだか麦で、かつ麦の栄養素を余すことなく食べられる自慢の逸品となった。こちらは、国内最高峰の料理人たちが参加する「料理マスターズブランド」に認定(平成27年)されるなど高い評価を受けている。

一方、香川県農協が中心となり、イベントや栽培講習会を通じて、はだか麦の生産推進にも取り組んでいる。讃岐はだか麦本舗と生産者とのつながりが深くなっていくなかで、香川県農協の平田課長は「この事業が生産者のやる気につながっているのは事実です。生産拡大には課題が多いけれど、栽培面積を維持し、収穫量を精一杯上げることで、生産現場からこの事業を支えていきたい」と語ってくれた。

讃岐の麦文化を守りたい

はだか麦の生産振興は、郷土に根ざした麦文化を守ることにも繋がると、香川県農協では、生産者や県農業改良普及センターなどと協力して、奨励品種*「イチバンボシ」の高品質・収量向上の栽培技術に取り組んでいきたいと考えている。

高畑氏は、「食の安全や私たちの健康のためにも、かけがえのない県内の農業をみんなで守っていくことが大切です。歴史がある讃岐の麦作と質の良いはだか麦、素晴らしい風景を次の世代に伝え残していきたいという思いを込めて頑張っていきます」と思いを語ってくれた。既存の商品のグレードを上げ、新たに発売するとともに、平成29年7月には、地域の方々とより身近な存在であることを目指して、坂出市に讃岐はだか麦本舗を本社から移設オープンさせることから、店主としてさらなる活躍が期待される。

* 奨励品種とは県が普及すべき優良な品種として決定した品種

新商品にかける熱き想い!!

それぞれの妥協のない思いが力となり、消費者の心に届きます。消費者を巻き込んで揺るぎない絆のサイクルができれば、香川のはだか麦は次世代につながっていくことでしょう。
その一歩が始まったところです。

「讃岐はだか麦本舗」店主 高畑 実代子 氏

香川県農協では、生産量の確保が必須です。生産者には、できるだけの支援を行い、香川のはだか麦を守っていきたい。また、消費者には、JAとしてもPRの努力を続けてまいります。

香川県農業協同組合営農部農産販売課
課長 平田 雅規 氏

株式会社高畑精麦

会社概要

所在地 善通寺市吉原町2392-1
電話 0877-62-2323
URL http://www.takabatake.co.jp/corporate.html
従業員数 25名
資本金 4,000万円
採択年度 平成26年度

香川県農業協同組合

会社概要

所在地 高松市寿町一丁目3-6
電話 087-818-4109
URL http://www.kw-ja.or.jp
従業員数 3,287名
資本金 281,537万円
採択年度 平成26年度