香川県内企業・財団の取組

高品質&周年栽培可能トマトで日本の農業に新しい改革を(徳寿工業株式会社)

糖度、ビタミンC、リコピンが高い[「セレブママ」トマト]

昭和22年に電気工事・空調設備工事業者として創業した徳寿工業(株)。昭和50年代半ばには農業施設部門を設置し、主に西日本の農業者にトマトの水耕栽培施設などを販売してきた。

近年は高齢化、後継者不足等に伴い、農業者向けの販売は低迷。そこで、平成17年に新たに農業に参入する企業をターゲットに「人工光植物工場システム」を開発した。

「農業は食糧供給の根幹。このままでは日本の農業は危機的な状況に陥る。これからは企業などが積極的に農業へ参入して、効率的な生産方法を導入することで日本の農業を変えていかなければいけない」同社の農業施設部門統括の下田氏は語る。

システムを売り込もうとする中で、やはりネックになるのが採算性。同社は農業がいかに儲かるものかをアピールするため、自社の植物プラント工場でレタスやイチゴを生産。これらを高品質機能性野菜「セレブママ」シリーズとして出荷し、自ら必要なデータやノウハウを蓄積してきた。

平成24年には、同社の持つ「人工光植物工場」と「ハウス水耕栽培」の技術を組合せた高収量トマト「とっくんトマト」の栽培基礎技術を確立。

その後、より採算性を高めようと今回研究に取り組んだのが、消費者のこだわりや健康志向にも対応できる高品質トマト[「セレブママ」トマト]栽培システムだ。

トマトの国内生産量は年間約64万トン。出荷時期はハウスものと露地もの、また産地の北と南が入れ替わる時期に端境期(はざかいき)が生じ、市場価格にも影響が出ていた。

特に、それまで「高品質」と言われていたものは、出荷時期が限定されることが多く、栽培方法や時期によって品質が安定しない場合もあった。

そこで、従来の「高収量トマト」より糖度や栄養成分を高め、これを安定的に周年栽培できるシステムを開発し、より採算性を高めようと考えた。

▲新田研究所に建てられた高品質トマト栽培試験施設
▲糖度が高く、総ビタミンCやリコピンが多く含まれる高品質トマト。[セレブママ]ブランドとして販売される
▲植物工場内でのトマト育苗
▲1回目の栽培試験では、最適な養液濃度を探索するため、非破壊検査を実施

養液の濃度、LED照明、強度補光3種類の実証試験を実施

開発にあたり、かがわ産業支援財団に相談したとき、中小企業応援ファンドの利用を勧められ、助成金でさまざまな実証試験を行う。

養液濃度の制御試験では、濃度を濃くすることで糖度が上がることが判明。最もおいしいといわれる糖度6の状態で収穫するための「糖度予測栽培」も行い、さまざまなデータを収集した。

日射量や人工光の制御試験では、LEDを照射することによる成長促進効果を実証。ビタミンCやリコピンなどの含有率が向上することも判明した。

そのほか、日照時間の少ない冬場でも成長を促進させるための夜間補光試験も実施し、季節による栽培期間の差も無くすための技術も確立した。

▲2回目の栽培試験では、トマトの果実にLEDの赤と青を4:2で照射して成分アップを測定
▲3回目の栽培試験では、高圧ナトリウムランプの人工光をあて、補光で安定した栽培が可能なことを実証

企業が農業参入しやすい日本を目指して

同社では[「セレブママ」トマト]を、量販店などで1キログラムあたり400~450円程度で販売したいと考えている。

「今回開発したトマトは栄養価が高いのでさまざまな加工品にも利用できます。今注目を集めている農業の6次産業化にも活用して欲しいです」下田氏は今後の展開について語る。

国が進めようとしている「成長戦略」の中でも、その柱として「攻めの農林水産業」が掲げられている。

我が国農業の競争力を向上させ、再び基幹産業として復活させるには、強い意欲と確かな経営感覚を持つ事業者の新規参入が不可欠であり、そのためにもこうした先進的なシステムは重要である。

新たな形の農業の実現に向けて、今後も同社に寄せられる期待は大きい。

新商品にかける熱き想い

高品質トマトは、値崩れしにくく、作りやすい商品です。健康志向などでも注目もされているので、将来性もあります。多くの企業にこの栽培システムを導入してもらい、農業の未来を改革して欲しいと思います。

徳寿工業(株) 農業施設 新田研究所所管 統括
下田 辰雄氏

徳寿工業株式会社

会社概要

所在地 高松市福岡町2-5-10
電話 087-851-9155
URL https://www.tokuju.co.jp
従業員数 80名
資本金 60,000千円
採択年度 平成25年度