香川県内企業・財団の取組

地域に埋もれていた資源を有効活用!!脂いわしを利用した栄養価の高い加工食品を新開発(共栄冷凍水産株式会社)

商品価値のなかった脂いわしを利用した新商品『いわし餃子』、『いりこ入り餃子』

さぬきうどんのダシに使われ、地域ブランドにも認定された『伊吹いりこ』。

伊吹島を中心とした燧灘では「いりこ」に加工されるカタクチイワシ漁が盛んだが、近年は漁獲高が激減。伊吹島でも最盛期の48億円から現在は10億円程度に落ち込んでいる。

一方で脂がのりすぎていりこに使えない、『脂がのったイワシ』が増加。脂分が多いと酸化しやすく、変色したり、味が落ちたりするので、これまでは漁獲していなかった。

共栄冷凍水産(株)は昭和29年に創業。当初はいりこの加工業を営んでいたが、昭和47年先代の社長がいりこに加工できないイワシを養殖ハマチの餌料とするための冷凍加工保管業を開始した。

その後、周辺で冷凍食品の製造が盛んになったことから取扱商品も拡大し、最近では、地元の魚介類や農産物の冷凍加工等も行っている。

新規事業を模索していた同社では、この脂イワシに着目。「せっかく豊富な栄養素を含んでいるので、加工や調理を工夫すれば新たな商品となるのでは」と藤村社長は考えた。

そこで、経営革新計画の認定を受け、脂イワシを使った加工食品の開発に着手。「いわし餃子」、「いりこ入り餃子」などを新たに開発し、未利用資源の有効活用で事業拡大と、地域経済の活性化を図った。

▲いわし餃子などのシリーズは老若男女に好評。
特に子どもを持つお母さんに受けが良い。県内の道の駅で販売する
▲創業当時に所有していた船・うまじや丸の愛称を使用して商品にはすべて『うまんじゃまる』のブランドロゴをつけている

魅力的な食材を生かすためレシピにも工夫をプラス

脂イワシは、栄養価も高く魅力的な食材。餃子のレシピは学生たちと一緒に取り組ませてもらいました。魚特有の臭みを消し、おいしく食べてもらえるように中に入れる野菜や調味料などに工夫をして仕上げています。老若男女に楽しんでもらえる良い商品が完成したと思います。

香川短期大学 准教授 松永 美恵子氏

学生のアイディアから生まれたレシピ

「『脂イワシ』は脂が多いので味が渋くなるといわれていましたが、考え方を変えるとその特徴を生かした商品にすればよいのです。」(藤村社長)

イワシには、イワシペプチド、DHA、EPA、カルシウムなどの栄養素が豊富に含有されている。食物栄養学が専門の香川短期大学の松永美恵子准教授の指導の下、子供から高齢者まで喜ばれる健康食の開発を目指した。

レシピの作成には香川短大の学生も参加。若い感性も取り入れたさまざまな提案が寄せられた。

今回商品化したのは、「いわし餃子」、「いりこ入り餃子」の他、オイルサーディンやドレッシングなど。その他周辺で獲れる海産物を使った餃子や惣菜も開発した。

「学生達は、我々には考えつかなかったユニークな商品を提案してくれました。食べやすくて、おいしい商品ができたと思います」(藤村社長)。

パッケージデザインも香川短大の学生が製作。「シーフードショー大阪」、「いりこ料理試食会」といった県内外の展示会やイベントでも来場者の目を引いた。

藤村社長も地元の網元にかけあい脂イワシの確保に奔走。「脂イワシで地場産業の発展に一役買いたいという思いが根底にありましたからね」と思いを語る。

▲いわしの天ぷらやから揚げなどの加工品は揚げるだけでOK

給食用天ぷら、から揚げ、カレーなどの商品も多彩に

栄養価の高い脂イワシは、天ぷら、から揚げなどとして学校給食などにも利用が広がっている。

最近は、国の補助金を利用して機械を導入して、いわし入りカレーも開発した。

「これまで使われていなかった地域資源を有効活用して、地域の特色を生かした商品を開発して全国に売り込んでいきたいです」と藤村社長は意欲を見せている。

▲保存ができる商品としていわしカレーを開発
▲伊吹島 漁風景
▲加工場作業風景

新商品にかける熱き想い

人がしないことを手がけていくのは、夢があります。脂イワシの商品開発も「気づかず使っていない資源を生かす」という、人が考えないことから始まりました。自社だけでなく、地域の発展になる事業ですから、これからも人の役に立つように頑張りたいですね!

代表取締役 藤村 昭夫氏

共栄冷凍水産株式会社

会社概要

所在地 観音寺市三本松町3-4-13
電話 0875-25-0539
E-mail kyouei@air.ocn.ne.jp
従業員数 12名
資本金 14,000千円
採択年度 平成25年度