香川県内企業・財団の取組

多目的に使えるエコでクリーンな次世代水圧システム(株式会社ADSムラカミ)

新かがわ中小企業応援ファンド等事業を活用

水で動く入浴装置のパイオニア

ADSは「新水圧技術(Aqua Drive System)」の頭文字。水道水を作動媒体とする液圧技術で、安全安心、快適でオイルフリー、産業廃棄物が発生せず、油圧や空圧・電動に比べると圧倒的に地球にやさしい。「水圧シリンダの仕組みは、簡単に言うと水鉄砲ですね。水の力だけで、大きくて重いものが自在に動かせると思うと面白いでしょう。とにかく非常にクリーンな技術であることに胸を打たれ、これからの水圧技術市場の可能性に着目しました」と、株式会社ADSムラカミ代表取締役の村上康裕さん。

さらに村上社長は続けて「この水圧技術は、前節まで従事していました(株)村上製作所時代に、水圧シリンダの研究・開発(約15年程前より)に取り組み、約3年の年月をかけて試験を行い、水圧シリンダの開発に成功しました。しかし、当初はまだ水圧シリンダを受けいれる市場が狭く、しばらくの間は、水圧部品関連の製造が中心でした。しかし、今から約6年程前に、地元香川県において、25年以上福祉関連機器を取り扱っておりました、(株)ヤエス殿と出会い、水圧技術が介護・福祉の分野での活用ができることがわかり、ここから本格的に、水圧技術を取入れた入浴装置の開発に着手しました。(株)ヤエス殿は独自技術において、操業当時から水圧システムを取入れた、特殊入浴装置を開発をし、全国の施設に数多くの特殊入浴装置の販売実績を持たれておりました」と当時を語る。

さらに、平成27年には、かがわ産業支援財団主催「かがわビジネスモデル・チャレンジコンペ2015」で最優秀賞を受賞。全国紙にも取り上げられて注目され、確かな手応えが得られたものの、課題も見えてきた。「社会貢献を旨として介護福祉の市場に参入しましたが、水圧技術の普及という点で、やはり介護施設だけでは需要が伸びません。在宅介護は増加傾向にありますが、市場調査の結果、一般家庭にも思ったほどの需要はないことがわかりました。そこで、次は用途を入浴に限定せず、多目的に使えるコンパクトな商品を開発しようと思ったんです」と村上社長。このビジョンを胸に、全国規模の展示会にも積極的に出展し、水圧技術のPRを続けた。

介護の枠を超えた市場の可能性を模索

病院や介護施設への普及拡大ももちろんだが、村上社長が視野に入れているのは大浴場などを備えた宿泊施設への販路開拓。「旅行に行きたいけれど、体が悪くて入浴や段差に不自由するから周囲に気を遣って留守番…みたいなこともなくなり、心置きなく宿でリラックスできるはず。車の昇降やちょっとした段差もすべて1台でカバーできますから、さまざまなシーンで役立つ装置だと思いました」と村上社長は手応えを掴んだ。

普段浴室内で使用しない時は、浴室内から取出し分解を行い、屋内外問わず、段差解消機として使用できる。従来の水圧式入浴装置に比べ、用途の幅広さと高い利便性が強みとなる。

「環境保全は避けて通れないテーマです。『エコだから高い』では今や勝負になりません。現在国内で流通している多くの水圧機器は、海外製(ヨーロッパなど)ですが、それでも国内の水圧機器メーカーと連携して、水圧機器の開発に努めております」という村上社長。水圧関連機器の素材は、錆びない素材を多く使用するので、イニシャルコストが幾分割高(現在腐食を防ぐ技術も導入しコスト低減化を図っている)になるが、導入後のランニングコスト等を低く抑えることができるので、他の液圧製品とも十分戦えるだけのメリットがある。

村上社長は「水圧技術の魅力を多くの人に知ってもらうためにも、まずは今回の段差解消機の汎用化・製品化を急ぎたいところです。骨格は仕上がっていますから、量産に向けて移動性の向上や荷重性などの試験をきちんとこなしていきたいです」と力を込める。

業界全体を盛り上げよう!

水圧技術の可能性は、福祉にとどまらない。防水・防災設備などにも同社の製品が実装され、燃えない、静電気が発生しないという特性は機械加工や食品の工場設備などにも清潔かつ安全に広く応用できる。「市場の可能性はまだまだこれからです。ライバルも少なく、今は競い合うよりもみんなで業界を育てていく段階だと思っています」と語る村上社長は、現在は京都府の企業と連携して新しい水圧システム装置の開発を進めている。「当面の目標は、技術連携を強化して生産体制を向上することです。販路拡大には製品のメンテナンスやアフターサービスも欠かせませんから、製造は当社が担当し、さまざまなジャンルの販売元を少しずつ増やしていこうと思っています」と、展望を語ってくれた。

新商品にかける熱き想い!

産業革命は蒸気エネルギー、つまり水から始まったんです。いちはやく小型化に成功した油圧が飛躍してきましたが、これからは水圧の時代。工場や車、いろんなものが水で動く日が来るかもしれません。第4のエネルギー技術として、スケールの大きい市場に挑んでいきたいです!

代表取締役 村上 康裕 氏

株式会社ADSムラカミ

会社概要

所在地 高松市林町379
電話 087-814-7651
URL http://www.ads-murakami.co.jp
従業員数 3名
資本金 500万円
採択年度 平成28年度